米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は2023年1月4日、世界最大級の技術展「CES」において、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(Foxconn=フォックスコン)との戦略的パートナーシップを発表した。
■「Made in Foxconn」にNVIDIA製品?
発表によれば、自動運転の車両プラットフォームを開発するためのパートナーシップだという。Foxconnはすでに他社からのEV製造を請け負うオープンEVプラットフォーム「MIH」を展開しており、いずれは自動運転EVの製造にも対応していくものとみられる。
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つまり、自動車の製造能力を持たない企業がFoxconnに自動運転EVの製造を委託することができるようになると考えられる。そしてNVIDIAが今回Foxconnと提携したことで、そのような過程を経て製造された車両にはNVIDIAの製品が搭載される可能性が高くなりそうだ。
自動運転業界では、GoogleやIntel、中国の百度(Baidu)など非自動車メーカーの参入が相次いでおり、今後構築される自動運転の車両プラットフォームを通じてNVIDIAは自動運転関連事業で大きな売上を得るかもしれない。
Foxconnは米AppleのiPhoneを製造していることでも知られており、Appleから自動運転車(※俗に言うApple Car)の製造を将来的に委託されれば、Apple CarにNVIDIAの製品が搭載される可能性も出てきた。
■次世代自動車向けSoCなどを供給
今回の提携でNVIDIAは、毎秒最大254兆回の演算が可能な次世代自動車向けSoC(システム・オン・チップ)「NVIDIA DRIVE Orin」や、自動運転車両向けのセンサープラットフォーム「DRIVE Hyperion」をFoxconnに対して供給していくものとみられる。
Foxconn幹部のEric Yeh氏は「NVIDIA との戦略的提携により、Foxconnが提供するインテリジェントな運転ソリューションが強化されるでしょう」と強調。「両社のそれぞれのユニークな強みを活用する、熟考されたパートナーシップ」と説明している。
NVIDIAのオートモーティブ担当バイスプレジデントの役職につくRishi Dhall氏は「Foxconn が DRIVE HyperionセンサースイートもEVに活用するという決断は、安全性、信頼性、または品質を損なうことなく、量産への道を加速するのに役立つでしょう」としている。
今後、Foxconnの自動運転の車両プラットフォームにはNVIDIAのほかどのような企業が参画していくのか注目していきたい。
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