空飛ぶホバーバイクなどを開発する株式会社A.L.I. Technologies(本社:東京都港区/代表取締役社長:片野大輔)はこのほど、同社のアメリカ法人であるAERWINS Technologiesが、アメリカ市場において上場することを発表した。
同社の発表によれば、AERWINS TechnologiesがSPAC(特別買収目的会社)の米PONO Capital CorpとDe-SPAC契約を締結し、NASDAQ証券取引所を上場するという。De-SPACとは、SPACによる買収を経た一連の上場プロセスのことを指す。
アメリカ市場では空飛ぶクルマなどを開発するエアモビリティ企業が複数上場しているが、日本のエアモビリティ企業がアメリカ市場で上場するのは初となる。
▼米証券取引所NASDAQへの上場に関するお知らせ|A.L.I. Technologies
https://ali.jp/2022/09/08/10991/
■2016年9月に創業、管制アプリも開発
A.L.I. Technologiesは2016年9月に創業した日本のベンチャー企業だ。主に、空中を走るホバーバイク「XTURISMO」や、エアモビリティの管制アプリケーションである「C.O.S.M.O.S.」などを開発・展開している。
そのほか、産業用ドローンの研究開発やコンサルティング事業、産業用ドローンを用いた点検や測量なども展開している。
同社の公式サイトでは主要取引先として、九州旅客鉄道(JR九州)や西日本旅客鉄道(JR西日本)、名古屋鉄道などの鉄道会社のほか、京セラや日立製作所、ミサワホーム、三菱重工業、三菱電機、ヤンマーヘリ&アグリなどの社名が挙げられている。
A.L.I. Technologiesの片野社長はプレスリリースにおいて、「De-SPACを通じたAERWINSのNASDAQ上場という、弊社のエアモビリティ市場に向けた事業のグローバル化を加速させるチャンスに恵まれたこと、大変嬉しく思っております」としている。
さらには「今後も、空中域から社会の仕組みを変えていくというビジョンを体現できる企業を目指し事業を推進してまいります」と強調している。
■日本のエアモビリティ技術に注目が集まる?
冒頭触れたように、すでにアメリカ市場では複数のエアモビリティ開発企業が上場している。
先駆けである企業は中国企業のEHang(ティッカーシンボル:EH)で、そのほか、トヨタが出資する米国企業のJoby Aviation(ティッカーシンボル:JOBY)や、ブラジル企業のEve Air Mobility(ティッカーシンボル:EVEX)も、すでに上場を果たしている。
とはいえ、エアモビリティ系企業の上場企業はまだまだ少ない。そんな中でのA.L.I. Technologiesの米国法人の上場は、日本のエアモビリティ技術に注目が集まる1つの大きなきっかけとなる可能性もある。
ちなみに日本には、SkyDriveやテトラ・アビエーション、エアロネクストなど、ほかにも有力なエアモビリティ開発企業が存在する。こうした企業の今後の動きにも注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?(2022年最新版)」も参照。