内閣府地方創生推進事務局はこのほど、2022年度の「未来技術社会実装事業」に10事業を選定したことを発表した。
未来技術社会実装事業とは、自動運転やAI(人工知能)、IoT、ドローンなどの技術を活用して地方創成を目指す事業を、政府が支援する制度だ。2018〜2022年度までに計53事業を選定している。
▼未来技術社会実装事業(令和4年度選定)について
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kinmirai/pdf/01_mirai_senteiR04.pdf
■選定された10事業
今回選定されたのは、以下の10事業だ。
- 岩手県盛岡市「未来技術チャレンジプラットフォーム『MULTI MONO MORIOKA』」
- 茨城県常陸太田市「自動運転の社会実装を見据えたMaaS×eコマース推進事業」
- 長野県塩尻市「塩尻型MaaS×高度無人自動運転サービス社会実装プロジェクト」
- 三重県いなべ市「健康で元気な高齢者!! 誰一人取り残されないデジタル社会の実現~高齢者が自然とデジタルを活用できる環境の構築~」
- 大阪府河内長野市「『地域力』と『未来技術』の融合による『豊かな生活』実装モデル事業」
- 大阪府豊能町「コンパクトスマートシティパーク データダッシュボード」
- 兵庫県高砂市「たかさご未来資金貯めようプロジェクト」
- 奈良県宇陀市「全世代が住み続けられるための移動手段の社会実装」
- 和歌山県かつらぎ町「交流拠点開設を契機に取り組むメタバース技術を活用した持続可能なまちづくり事業~新たな関係性によるDX時代のまちづくり『かつらぎ町モデル』の実現~」
- 鹿児島県伊仙町「高齢者・障がい者向けの自動運転パーソナルモビリティ導入事業」
このうち、自動運転に関連した取り組みを提案した自治体の中から、茨城県常陸太田市と長野県塩尻市の事業内容についてサマリーを紹介しよう。
■茨城県常陸太田市:MaaS×eコマースを推進
常陸太田市では、山間部から市街地への移動手段確保やラストワンマイルと言われる近距離移動サービスの充実が課題となっている。
今後は自動運転車両を利用した商業施設への移動性向上や、既存の交通システムと組み合わせたMaaSシステムの構築により公共交通をシームレスにつなぐとしている。同時に、商品受け取りロッカーを設置するなどし、買い物環境の充実につなげたい狙いだ。
ちなみに同市では過去に、山間部で自動運転レベル2の実証実験が行われたことがある。
■長野県塩尻市:レベル4相当の移動サービスを実装へ
塩尻市は免許を返納する高齢者の増加を受け、自家用車以外の交通手段の充実を図る。具体的には、2025年までにレベル4相当の自動運転サービスを実装し、公共交通サービスとして確立するとしている。
同市では2022年4月にAI活用型オンデマンドバス「のるーと」を本格的に導入した。乗車したいときにアプリで配車ができる乗り合いバスサービスだ。一般的なバスと異なり、乗客の要望や道路状況に応じて最適なルートを走行するのが特徴だ。
今後は「のるーと」を核としつつ、自動運転バスや乗り合いタクシー、カーシェアなどのサービスを展開するとしている。
■「自動運転×地方」に期待感
人口減少や高齢化が深刻な地方では、移動手段の確保が最優先事項となっている。自動運転車両の活用により、誰もが移動しやすい社会となることに期待が高まる。
【参考】関連記事としては「東は「自動運転」、西は「空飛ぶクルマ」 東京・大阪の方針比較」も参照。