各国で自動運転車の開発が急速に進む一方、安全面や機能などに対する懸念の声もある。自動運転車の実用化に向けては、自動運転に対する人々の理解を促し、社会受容性を高めていく必要がある。
そんな中で独アウディは、「自動運転車に対する通説」に対する独自の回答をプレスリリースを通じて公表した。「自動運転は運転の楽しみがなくなる」「自動運転車は高くて買えない」。アウディはこうした通説に対し、どういう回答を用意したのだろうか。
■自動運転で運転の楽しみがなくなる?
一定エリア内で運転操作が完全自動化される「レベル4」の導入に向けた動きが進んでいる。そんな中、運転が好きな人にとって、自動運転が導入されると運転操作の楽しさを味わえなくなるのではないか、という懸念が出ている。
ちなみに損害保険ジャパンが2020年に行った自動運転に関するアンケート調査によると、自動運転の普及に対する不安として、約24%の人が「車を運転する楽しさ・喜びの減少」と回答している。
こうした懸念に対し、アウディは「自動運転車が、運転の楽しみを奪うことはありません」と回答している。渋滞時は自動運転、それ以外は人が運転するなど、状況に応じて自動運転と手動運転を選べるようになるからだという。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?」も参照。
■システムの暴走が起きる?
自動運転車では、アクセルとブレーキの踏み間違いや、長距離移動の疲労による事故など、人的ミスによる事故がなくなる。その一方で、システムの暴走などによる事故が発生しないのか、という不安を持つ人は少なくない。
こうした不安に対しアウディは、自動運転車は危険な状況下において独自に判断するのではなく、ソフトウェア開発者によって与えられた選択肢のみを実行すべきであるということが、現在の議論の中心となっていることを説明している。
「ソフトウェアは、それを設計した人々の倫理的基準と価値観に基づいた決定を下すことが可能で、ソフトウェア自体は独自の解釈をすることなく、それらの決定を実行するだけ」とのことだ。
■自動運転車は高くて買えない?
高度な技術や多数のセンサーが搭載される自動運転車は、一般の人には手が届かない価格になるのではないか・・・。こうした声も少なくない。
確かに現段階では生産台数も限られており、しばらくは価格が高い状況が続くかもしれないが、アウディは大量生産されるようになれば価格は下降していくと予想している。加えて、自動運転車の普及によって交通事故のリスクが低減することで、修理代や保険料のコストが下がる可能性もあるという。
このほか、クルマは個人で所有するものではなく、カーシェアリングなどで共有するものに変化するだろう、とも指摘している。重要な視点だ。
■8つの通説に対して回答
アウディは公式サイトで全部で8つの通説に対して回答を行っている。自動運転に関するさまざまな疑問・不安を抱えている人などにとっては、非常に読む価値がある内容だ。詳しくは以下のURLから。
▼自動運転に関する通説と真実(ドイツ本国発表資料)|Audi Japan Press Center
https://www.audi-press.jp/press-releases/2022/b7rqqm000001l8d0.html
【参考】関連記事としては「自動運転、歴史と現状」も参照。