中国の自動運転ベンチャーWeRide(文遠知行)がシステム提供した無人タクシーが、アラブ首長国連邦の首都アブダビで第1フェーズの実証実験を成功させた。MENA(中東・北アフリカ地域)初の「自動運転レベル4」(高度運転自動化)での成功となったようだ。
■約2,700人のために1万6,600キロ以上を走行
実証実験は、地理空間データ製品を提供するアブダビ企業Bayanatが、アブダビの交通局や統合交通センター、不動産開発などを手掛けるMiral Asset Managementと連携し、行われた。自動運転タクシーの名称は「TXAI」。
報道発表によれば、WeRideは同社が開発する最新の自動運転ソフトウェアや自動運転に必要なセンサーなどのハードウェア、無人走行を監視するためのモニタリングシステムなどを提供した。
今回の第1フェーズの実証実験では、利用者がTXAIアプリを使って自動運転タクシーを呼び出し、約2,700人の利用客のために自動運転タクシーは1万6,600キロ以上を走行したという。第2フェーズは車両の台数を増やし、2022年半ばに行われる予定となっている。
■アブダビへのシステム提供で新たな収益を獲得?
2017年設立のWeRideは「自動運転レベル4」の技術開発に特化した企業だ。同社に投資を行っている企業・組織は数多く、ルノー・日産・三菱アライアンスや中国の大手自動車メーカー広州汽車集団(GAC Motor)、ドイツの自動車部品大手Boschなどが挙げられる。
アメリカの民間調査会社のCBインサイツによれば、同社の企業価値は44億ドル(5,300億円)に上り、中国のユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)の1社に数えられている。
未上場企業であるため、現時点でどれほどの売上高をあげているのかは分からないが、今回のアブダビでの実証実験において、WeRideが自社で開発したシステムを販売もしくはライセンス提供したのなら、ある程度大きな収益を得たかもしれない。気になるところだ。
▼WeRide公式サイト
https://www.weride.ai/en/
【参考】関連記事としては「中国の自動運転ベンチャーWeRideがアクセル全開!買収、資金調達、試験許可取得」も参照。