米ライドシェア準大手のLyft(リフト)が、セーフティドライバーを乗せない完全自動運転の移動サービスつまり「自動運転タクシー」を、2023年までにラスベガスで開始する計画のようだ。
韓国ヒュンダイと米AptivのジョイントベンチャーであるMotional(モーショナル)が車両を提供する。Motionalはすでに3年間、ラスベガスで自動運転タクシーの試行を行ってきた経緯がある。
車両として使用してきたのは、ヒュンダイの電気自動車(EV)「IONIQ 5」とベースにした車両だ。Lyftの共同設立者であるLogan Green最高経営責任者(CEO)は「Lyftの強力なネットワークは、自律運転車を大規模展開するための理想的なプラットフォームだ」と強調する。
■Lyftが自動運転タクシー事業に乗り出す理由
Lyftはライドシェアサービスのほか、シェアバイク事業やレンタカー仲介事業などを展開しているが、経営の柱はライドシェアサービスだ。自家用車で客を運びたい人とその車両に乗りたい人をマッチングさせ、その際にサービス料や手数料を得るビジネスモデルだ。
Lyftがこのような「人」によるライドシェアサービスを展開している中でも、「無人」の自動運転タクシー事業の開発を急いでいるのは、事業としての有望性が非常に高いことのほか、Uberなどのライバルも自動運転タクシーの事業化に力を入れているからだ。
自動運転タクシー事業は、当初は車両コストが大きい。しかし車両が量産されるようになって導入コストが下がれば、人を使わなくていい分、利益率を高めやすい。乗車代金を安くすることでユーザーを増やすことも可能になってくる。
Uberもこうしたビジネスモデルの構築を急いでいるため、Lyftとしてはいち早く、自動運転タクシーをライドシェア企業として展開したいところだろう。ちなみにWaymoはすでに自動運転タクシーを商用化しているが、顧客ネットワークという観点ではLyftに劣る。
■「完全無人」でなければ脚光を浴びなくなってきた
アメリカでも「完全無人」のタクシーサービスやシャトルサービスの展開に乗りだそうという企業が増えている。もはやセーフティドライバーが乗った状態では、メディアも騒がなくなってきている。このことは、自動運転時代の本格的な幕開けが近づいている証左と言える。
Lyftがすでに有している顧客ネットワークをテコに、中長期的に自動運転タクシーサービスで大きなシェアを獲得していけるか、引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「車両開発は他社任せ!Lyft、Uberより先に自動運転タクシー提供か」も参照。