中国のライドシェア最大手であるDidi Chuxing(滴滴出行)が2021年6月30日、ニューヨーク証券取引所に上場した。ライドシェア企業としては、米Uberや米Lyftもすでに上場しているが、株価はあまり振るっていない。一方でDidi Chuxingはどうなるか、注目が集まるところだ。
■時価総額は685億ドル、調達額は44億ドル規模に
Didi Chuxingのティッカーシンボルは「DIDI」。初値は公開価格を約19%上回る16.65ドルで、初日の終値は14.14ドルだった。終値ベースの時価総額は685億ドル(約7兆6,300億円)で、調達額は44億ドル(約4,900億円)に上った。
この44億ドルという調達額は、中国企業がアメリカで上場したケースで過去2番目の規模だ。ちなみに過去最高は2014年に上場したアリババの250億ドルとなっている。
■ソフトバンク・ビジョン・ファンドが筆頭株主
Didi Chuxingの歴史はやや複雑だ。Didi Chuxingのブランドで事業を展開し始めたのは2015年だが、発端は2012年に遡る。
創業者で現CEO(最高経営責任者)の程維氏がライドシェアサービスを始めたのが2012年で、その後の2015年、同業の「Kuaizhi Technology(快的打車)」と合併してDidi Chuxingとしての事業史がスタートした。
Didi Chuxingにはソフトバンク・ビジョン・ファンドが2017年に投資していることでも知られており、同ファンドはDidi Chuxingの株式を約20%保有する筆頭株主となっている。ちなみに2016年に米アップルも同社に10億ドルの戦略的投資を行っている。
Didi Chuxingは2018年にはソフトバンクとの合弁会社として日本法人「DiDiモビリティジャパン」を設立し、日本国内でタクシー配車アプリを展開している。
■2021年はGrabも上場にも注目を
今回のDidi Chuxingはライドシェア企業の上場としては高い関心を集めたが、年内には東南アジアの配車大手Grab(グラブ)もアメリカ市場で上場する予定となっている。こちらの上場案件にも注目しておきたいところだ。
また、Didi Chuxingは2016年に自動運転の専門部署を立ち上げ、2030年までに100万台の自動運転車を導入するという計画を立てている。ライドシェア事業が現在は同社の事業の柱だが、自動運転事業も合わせて注目しておきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシー、DiDi×ボルボカーズ×NVIDIAの強力トリオ!戦略的パートナーシップを締結」も参照。