米半導体大手の米インテルは2021年5月7日までに、イスラエルでの研究開発拡充に6億ドル(約656億円)を追加投資する方針を発表した。
自動運転ラボとして注目したい点は、そのうち4億ドルを傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)のエルサレム本社に投じるという点だ。4億ドルの投資でMobileyeのエルサレム本社を自動運転技術の一大拠点とする計画のようだ。
1999年設立のMobileyeは2017年に1兆7,000億円でインテルに買収され、現在はインテルの自動運転部門を牽引する存在となっている。
ちなみにMobileyeの自動運転へのアプローチは近年多角化しており、画像認識半導体チップやADAS(先進運転支援システム)システムの開発だけではなく、自動運転タクシーを展開する計画も立てている。
■イスラエルとインテルの距離感がより縮まっている
インテルは近年、イスラエルとの距離感を縮めている。2019年12月にはAI(人工知能)向け半導体開発のHabana Labs(ハバナラボ)を、2020年5月にはMaaSアプリ開発のMoovit(ムービット)を買収し、イスラエルのハイテク企業を続々と傘下に収めている。
2021年2月にインテルのCEO(最高経営責任者)に就任したパット・ゲルシンガー氏もこのほどイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と面会するなど、企業としての「対イスラエル外交」に力を入れているようだ。
It was a pleasure meeting with @Intel CEO @PGelsinger, and great to hear of Intel's commitment to continue investing in Israel. pic.twitter.com/erC2zxeRHl
— PM of Israel (@IsraeliPM) May 3, 2021
すでに多くのユニコーン(企業価値が10億ドル以上の非上場企業)を有しているテクノロジー国家イスラエル。そして巨額の資金力を背景にイスラエルの有望企業を続々と買収しているインテル。
この両者の関係がより濃くなっていくほど、インテルの自動運転事業の土台は強固になっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「インテル傘下Mobileye、東京で自動運転実証を数カ月以内に実施へ」も参照。