倉庫や工場向けの自動搬送ロボットのマーケットが盛り上がりつつある。倉庫や工場は「限定空間」かつ「私有地」だ。そのため、自動運転技術の導入の技術的・法的ハードルは低く、こうした場所で活躍するロボットがどんどん増えているのだ。
物流業や倉庫業を手掛ける企業にとっても、労働力不足が課題となる中、省力化・無人化につながる自動搬送ロボットは有り難い存在だ。こうした背景もあり、ベンチャーから大手までさまざまな企業が自動搬送ロボットの開発・展開をスピードアップさせている。
具体的な社名で言えば、自動運転ベンチャーのZMPやロボットベンチャーのDoogなどのほか、パナソニックやオムロン、日立製作所などの大手企業だ。そして、こうしたビジネス領域に挑戦する新たなスタートアップ企業が注目を集めつつある。LexxPlussだ。
■新規参入のLexxPluss、自社開発ロボを2021年秋頃に販売へ
株式会社LexxPluss(本社:神奈川県川崎市/代表取締役:阿蘓将也)は2021年3月10日までに、ベンチャーキャピタル(VC)のインキュベイトファンド、欧米やアジアのスタートアップ支援を行うSOSV Investments、住友商事から資金調達が完了したことを明らかにした。
同社は今回の調達した資金を、自動搬送ロボットの開発費用やエンジニア人材のための採用費用、そして今後展開するサービス開発へ投資する。また、自社開発の自動搬送ロボットの2021年秋頃の販売を目指し、複数の事業者と実証実験を行っていることも発表した。
LexxPlussは、2020年3月に設立されたスタートアップ企業だ。代表取締役である阿蘇将也氏は、自動車部品メーカー大手の独ボッシュで自動運転プロジェクトや自動バレー駐車システムに携わった経歴を持つ。
同社が開発する自動搬送ロボットは、「ハイブリッド制御技術」を実装していることが特徴だ。床面に誘導線を配置して軌道走行するAGV(無人搬送車)と自律的に走行するAMR(自律移動ロボット)の両方の優れた点を兼ね備え、より実用性が高くなっている。
ちなみに報道発表ではグローバル展開を見据えていることにも触れられている。
■成長市場に挑戦するLexxPlussの今後の動向に注目
調査レポートの販売事業を手掛けるReport Oceanが2021年2月に明らかにした世界の物流ロボット市場の将来予測によれば、コロナ禍が市場拡大にプラスに働き、市場規模は年間売上ベースで2026年までに238億ドル(約2兆5,000億円)規模に達するという。
倉庫や工場における自動搬送ロボットの需要は今後も伸びていく。その中で新たにこの領域に参入したLexxPlussの今後の動向を、引き続きウオッチしていきたい。
【参考】関連記事としては「スタートアップLexxPluss、自動搬送ロボの導入分析サービスを提供」も参照。