自動車における「DX」とは?自動運転化、コネクテッド化、データの利活用…

「100年に一度」の大変革時代に求められるもの



出典:GfKジャパン・プレスリリース

リサーチ企業のGfKジャパンが2020年2月に公表した調査データによれば、新車購入を検討している人の32%が最新のデジタル機能を搭載した車を「確実に検討する」と回答している。自動車でも「DX」(デジタルトランスフォーメーション)が求められていると言えよう。

では自動車におけるDXとはどのようなものだろうか。上記の調査では、デジタル機能として「インフォテインメントシステム」や「自動運転」の機能の搭載車を購入したい人が多い結果となっているが、まさにこうした機能が自動車におけるDXの一要素として挙げられる。







なお、DXはスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱したと言われており、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念だ。民間企業においてもDXが進む中、製品としての自動車に求められるDXについて考える。

■自動運転化:安全性向上などで期待感

自動車業界において、いま注目されているデジタル技術といえば「自動運転」だ。前述の調査の結果でも、全体の約6割が「完全自動運転」や「ほぼ完全自動運転」の車に興味があると回答した。

自動運転の実現によって期待されていることの1つが、安全性に関することだ。交通事故原因の90%以上が運転者によるヒューマンエラーと言われており、自動運転が普及することによりこうした事故が少なくなることが見込まれている。

運転手の手腕に関係なく交通の流れが均一になることによる渋滞の緩和、それに伴って環境負荷低減につながるとも言われている。また、自動運転のタクシーやバスによる移動サービスが提供できれば、高齢化や過疎化が深刻な地域でも低コストで運行が継続できる。

■インフォテインメントシステム:車内で映画鑑賞やネットショッピング

インフォテインメントは「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」を組み合わせた造語で、自動車とインターネットがつながることにより、通信によってさまざまな情報・コンテンツを車内で閲覧できるようになる。

自動運転のレベルにもよるが、完全自動運転車が普及する時代になれば、運転手は運転から完全に解放され、動画や映画の鑑賞やネットショッピングなど車内で楽しめるようになる。こうした車内向けビジネスの市場も広がっていきそうだ。

■コネクテッド化:自動通報や盗難車両追跡などが可能に

自動車がコネクテッド化することによって、さまざまなことが可能になる。前述のインフォテインメントシステムもその1つだが、安全性向上につながるとされているのが「緊急通報システム」だ。エアバッグと連動し、事故が起きると自動的にコールセンターへ通報がいく。

欧州連合(EU)では、新車に緊急通報システムの「eCall」を装備することが2018年より義務化されており、日本も国際基準を導入することとしている。

他には、車両の盗難が判明した場合に車両の位置を追跡する「盗難車両追跡システム」、災害発生時に通れる道をリアルタイムで提供する情報システム、車の状態を遠隔管理できる「リモートメンテナンスサービス」などが挙げられる。

コネクテッドの分野はすでに実用化が進んでいる分野で、各メーカーの新型車には一定程度のコネクテッド機能が搭載されているケースが増えたきた。

OTA(Over The Air)技術にも注目したい。OTAとは無線通信でソフトウェアをアップデートする技術だ。この技術を使えば、車両にインストールされているセキュリティやインフォテインメントシステムなどに関するソフトウェアを常に最新版にしておくことができ、セキュリティ向上やユーザー体験の改善などに結びついていく。

■データの利活用:センシングデータをビッグデータ化して活用

車がさまざまな地域を移動しながらLiDARやカメラでセンシングを行うことにより、自然と大量のデータが蓄積され、ビッグデータ化することが可能になる。そしてそのビッグデータはさまざまなシーンで活用される。

例えば自動運転の分野では、カメラやセンサーから取得した画像データは、高精度3次元地図やダイナミックマップの作製で活用できる。さまざまな車両から得た渋滞データを統合すれば、渋滞のリアルタイム情報を渋滞情報プラットフォームに一元化することも可能だ。

また、全国各地で走行している車両から集められた気象情報からリアルタイム天気マップを作製する、道路の破損情報などを収集・分析して道路整備会社と共有する、といった利用の仕方もある。

■【まとめ】DXのスピード感が各社のブランド力にも影響

100年に一度の大変革期を迎えていると言われている自動車業界。すでに自動車メーカー各社はこの記事では紹介したようなデジタル技術の搭載・活用に取り組んでいる。企業間競争が加速する中、DXのスピード感が各社のブランド力にも影響していきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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