日本デザイン振興会が主催する「2020年度グッドデザイン賞」の結果が、2020年10月7日までに発表された。審査委員会により特に高い評価を受けた「グット・デザインベスト100」では、自動運転関連ではソニーが開発したEV試作車「VISION-S」が選出された。
VISION-Sはソニーが2020年1月に発表したEV試作車で、ソニーが得意とするセンサーも搭載している。自動運転レベル2(レベル2+)相当の機能を備えており、将来的にはレベル4以上の高度自動運転の機能を搭載することも視野に入れている。
VISION-Sは車内でのエンターテインメントの提供も想定してデザインされ、審査委員からは「半導体、エレクトロニクス、モバイル、MaaS、エンタメ、金融…ソニーが持つ事業アセットを融合させ、未来のモビリティのあり方を追求するプロジェクト」と形容されている。
また審査委員からは「そのまま公道を走行できる」安全性や規格にこだわって開発されたことも評価され、センシングによる安全性やソフトウェアによる継続的なアップデートなどを通じ、「社会への未来像提示と実装を期待したい」とのコメントを受けている。
ちなみに、今回受賞したVISION-Sのデザインのポイントとしては、以下の3点が挙げられている。
- 人と車の関係性のリデザイン。安全からエンタテインメントまで、リアルな移動体験を多角的に創出した。
- 公道走行を前提に内外装からUI/UXまで作り込み、移動体としての美しさと安全性の完成度を徹底追求。
- 車の作り方においても、学びつつ、短期間に外部と共創し、IT的水平分業など新たな形を見出した。
■自動運転車に秘めた可能性にソニーが注目
ソニーは自動車メーカーではない。にも関わらずVISION-Sを発表した。このことからは、ソニーが来たるCASE(コネクテッド/自動運転/シェアリング・サービス/電動化)時代において、ビジネスを強力に展開しようとする意思のようなものが感じられる。
自動運転車を「無人で移動する車」を考えてしまえばそれまでだが、自動運転車にはさまざまな可能性がある。
これまで運転していた人が運転から解放されることで可処分時間が生まれ、ハンドルやペダル類が必要なくなることで車室デザインも多様化する。こうした点は車内エンターテインメントの可能性を高める。だからソニーも自動運転のビジネスにより関心を寄せているわけだ。
【参考】関連記事としては「ソニーの自動運転車「VISION-S」を徹底解剖!センシングとエンタメで本領発揮」も参照。