自動車部品メーカー大手の独ボッシュは2020年6月11日までに、2019年におけるADAS(先進運転支援システム)部門の世界売上高が前年比12%増の約20億ユーロ(約2400億円)に上ったことを発表した。
センサー開発や自動バレーパーキングの取り組みで注目を集めるボッシュ。ADAS分野は自動運転の前哨戦的な領域で、同社はTier 1企業として自動運転領域においてもマーケットリーダーとしての存在感を高めている。
■「人的ミスによる交通事故をゼロに」という目標
ボッシュでは人的ミスによる交通事故をゼロにするという目標を掲げ、車両の自動運転化に取り組んでいる。
自動運転化につながる同社の原点とも言える技術が「ESC(横滑り防止装置)」で、1995年にダイムラー・ベンツと共同開発した「Sクラス」に初搭載され、現在は世界の新車乗用車の82%にESCが装備されている。
「自動運転車両の目」の役割を担うレーダーの開発も進めてきた。同社の試算では、側方レーダーを使った衝突被害軽減ブレーキと発進防止機能により、現在ドイツ国内の交差点で起きている交通事故の最大41%を防止もしくは被害を軽減できるという。
側方レーダーは2020年から量産を開始する予定だという。
■「より良い社会と環境のために」
ボッシュ日本法人のクラウス・メーダー代表取締役社長は年次記者会見で「今後もより良い社会と環境のために、様々なイノベーションを提供してまいります」と語っている。
他にも、自動運転に関わる「ネットワーク化」や「AIの駆使」なども進め、幅広く自動運転領域をカバーするボッシュ。大企業ならではの資金力や人材資源をフル活用し、さらにマーケットリーダーとしての立ち位置を強固なものにしていきたい考えだ。
【参考】関連記事としては「ボッシュ「自動運転の基礎」と語るESC(横滑り防止装置)開発史」も参照。