ボッシュ「自動運転の基礎」と語るESC(横滑り防止装置)開発史

交通事故の「ビジョン・ゼロ」に向けて





出典:ボッシュ・プレスリリース

自動車部品メーカー大手の独ボッシュは2020年5月21日に発表したリリースで、開発中のESC(横滑り防止装置)について「ビジョン・ゼロを目指す上で進める自動運転にとって、基礎となるテクノロジー」と紹介した。

ボッシュがこう語るESCとはどういったものなのか。







■ESC、横滑り事故を80%防止

ESC(Electric Stability Control)とは日本語で「横滑り防止装置」と呼び、車の走行を安定させるシステムである。路面が凍結している場合や急カープなどの場合にESCが稼働し、タイヤの回転数やブレーキを制御することで、事故を防ぐ仕組みだ。ESCの装備により、横滑りの事故を80%防止できるという。

1995年にボッシュとダイムラー・ベンツが「Sクラス」に初めてESCを装備し、現在は全世界の新車乗用車の82%にESCが装備されているという。

同社の分析では、ESCはEU圏内だけでも過去25年間で1万5000人の命を救い、50万件近くの人身事故を防いできたという。ボッシュ取締役会メンバーのハラルド・クローガー氏は「ESCの開発は、交通事故死亡者をゼロにするという私たちの『ビジョン・ゼロ』に向けたマイルストーンでした」と述べている。

■ESCはどのように開発されていったのか

こうしたESC誕生に向けた取り組みは1980年代からスタートしたようだ。当初は、ボッシュとダイムラー・ベンツがそれぞれ開発を進め、1992年から共同で取り組むようになったという。

ESC開発の転機となったのは、1997年からスウェーデンで始まった自動車の安全性を確認するための自動車テスト「エルクテスト」。テスト中、ベンツ「Aクラス」が横転したことがきっかけで、メルセデス・ベンツは自社モデルにESCを標準搭載するようになった。

その後、世界中の自動車メーカーが自社モデルにESCを採用するようになり、現在は多くの地域でESCの車両装備が義務化されている。例えばEUでは、2014年11月以降に新規登録された全ての乗用車と商用車においては搭載が義務化されている。

■【まとめ】安全装置から自動運転車両向けセンサーまで

ESCを「自動運転にとって基礎となるテクノロジー」と語るボッシュ。ボッシュは現在、自動運転に向けた取り組みを強化しており、2019年7月には世界で初めて自動バレーパーキング(Automated Valet Parking)の認証を関係当局から受けたことも発表した。

また、自動運転車両の「目」の役割を担う自動運転向けセンサーの製品群も拡充している。2020年2月には車載レーダーと車載カメラを補完する「長距離LiDAR」を開発したことも発表し、ボッシュは「自動運転に必要な様々な安全要件を満たすだけでなく、自動車メーカーの幅広い車種に効率的に組み込むことが可能」としている。

自動車の安全装置から自動運転車両向けセンサーまで、ボッシュ社の自動運転業界における存在感は高まるばかりだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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