【比較】最強のタクシー配車アプリは?横浜で実験 JapanTaxi、DiDi、MOV、S.RIDE、Uberを解説

使いやすさや配車の手順・設定方法など





撮影:自動運転ラボ

新たなタクシー配車アプリが続々とリリースされ始めている。国内最大手のJapanTaxiの一強体制を崩そうと、海外勢のDiDiやウーバー、国産アプリのMOV(DeNA)やS.RIDE(ソニー系)などが息巻いている。後部座席に設置した車載タブレットと組み合わせたビジネス展開も盛んで、タクシー配車アプリは今後ますます盛り上がっていきそうだ。

ただ一方で、各社のアプリにどのような違いがあるのか知らない人も多いのではないだろうか。そこで今回は配車アプリの実際の使い勝手を比較してみたいと思う。(記事の最後では日本の主要アプリの概要も説明する)







検証は神奈川県横浜市のみなとみらいエリアで実施し、横浜駅から2〜3キロほど離れたオフィスエリアの道路(片側2車線)沿いで配車を試してみた。

検証対象は関東の一部地域でサービス提供している「DiDi」と「JapanTaxi」と「MOV」で、「一番早く到着するアプリを使ってタクシーに乗車する」という条件で検証を開始した。

■まず3つのアプリを試してみた
①DiDi:「お客様の地域ではご利用いただけません」との表示

最初にDiDiの配車アプリを起動して試したところ、「お客様の地域では現在ご利用いただけません」というメッセージが表示された。調べてみたところ、DiDiのサービスエリアは関東では東京のみ(2019年4月現在)で、神奈川県には対応していないようだ。

タクシー配車サービスは対応エリアが広がりつつあるがまだ未対応の地域もあるため、このようなことも起こり得る。出張や旅行などでさまざまな地域で配車アプリを使う機会があるユーザーは、複数のタクシー配車アプリをあらかじめインストールしておくのがおすすめだ。

②JapanTaxi:配車依頼可能だが、到着予定時刻が表示されず

次にJapanTaxiの配車アプリを立ち上げると、マップが立ち上がりサービス利用可能状態となった。画面上には付近のタクシーマークのアイコンが表示されて、空車状態のタクシーが見てわかるようになっている。

タクシーを呼ぶためには「ここで乗る」ボタンを押し、切り替わった画面でタクシーに乗る場所を細かく指定する。目印となるピンを移動してタクシーが停まりやすい道路沿いを指定したり、道路の自分が居る方向を指定したりすることが可能だ。(こうした仕様であることから、今回検証を行った2車線以上の幹線道路などでも、道路の反対側にタクシーが停まってしまって困るということはなさそうだ)

続けて同様の手順で目的地を設定すると、走行ルートが表示され、タクシー会社や支払い方法、クーポンを選択する画面となった。支払いはクレジットカードやGoogle Payなどのネット決済が選択可能で、このときはアプリダウンロード時に取得した1000円割引の初回限定クーポンも利用可能だった。

ただJapanTaxiアプリでは配車が確定する前にタクシーの到着予定時刻は表示されなかったため、いったんアプリを閉じてMOVも試してみることにした。

③MOV:使いやすさ◎、到着時刻と利用料金が確認可能

最後にMOVの配車アプリを起動し、サービス可能エリアであることを確認した。マップに空車のタクシーが表示される仕様で、基本画面はJapanTaxiと大きく違わないという印象を受けた。

一方でJapanTaxiとの違いは常にタクシー到着予定時刻が表示されている点だ。こうした仕様により、タクシーが来るまでに掛かる時間をリアルタイムで確認できる。タクシーが早く到着するエリアを探して徒歩で移動する、といった使い方もできそうだ。

タクシーは乗る場所はJapanTaxiと同様、マップ上でピンで指定する。行き先はマップ上で指定する方法と住所や施設名で検索する方法が併用でき、使いやすい。目的地選択時には指定する場所への距離や所要時間、およその金額も表示され、非常に分かりやすい印象を受けた。

乗る場所と目的地を設定したら、支払方法とタクシー会社、クーポンの選択を行う。支払い方法はネット決済とタクシー車内での現金払いが選べるが、現金の場合はクーポンが使用できない。タクシー会社はエリア内で選択可能な会社を指定するか、「お任せ」を選ぶこともできる。今回は初回インストール時に付与される500円割引のクーポンが使用可能とのことだった。

最終的に選んだのは「MOV」

サービスエリア圏外だったDiDiを除き、Japan TaxiとMOVのアプリを比較したが、今回はタクシーの到着時刻と目的地への到着予定時刻が分かるMOVを利用することにした。

■MOVでタクシーを配車してみた
難しい点なく2分程度で配車依頼が完了

早速MOVを使い、乗車位置と目的地の設定、支払方法の選択(ネット決済)、クーポンの選択(初回限定の500円割引)、タクシー会社の選択(お任せ)を済ませた。ここまでの設定で難しい所はなく、所要時間は1〜2分といったところだ。

現在の仕様では毎回目的地を一から設定する必要があるが、自宅や会社などよく行く場所を登録して簡単に設定できる機能があれば、1分以内に配車することも可能かと感じた。

設定を完了して「タクシーを呼ぶ」ボタンをタップすると、手配中を示す画面が表示され、わずか3秒で配車が完了した。キャンセルできるのは配車中の3秒間のみなので、誤操作による配車を防ぐために事前に注意書きなどがあると良いかもしれない。

タクシー到着は予定通り4分ほぼきっちり

そして、タクシー会社の名前と車のナンバー、到着予定時刻が表示され、到着を待つのみとなった。メッセージ機能でタクシーの運転手と連絡を取り合うこともでき、分かりづらい場所で到着を待つ際も確実に居場所を伝えることができそうだ。

その後、スマートフォンに到着通知が表示され、予定されていた4分ほぼきっちりにタクシーが到着した。会社とナンバーを確認してからタクシーに近づきアプリ配車した旨をドライバーに伝えると、口頭での名前の確認があってからタクシーに乗り込んだ。

運転手さん「アプリの利用者はどんどん増えているよ」

50代前後に見えるベテラン風の運転手にアプリ配車について話を聞いてみると、配車アプリの利用者はどんどん増えているという。MOVアプリは横浜駅周辺のほとんどのタクシー業者を呼べるようになっていて、会社を指定しなければ配車してからすぐにタクシーが来るので、使い勝手が良いようだ。

運転手さん「駅から少し離れて配車する『裏技』がある」

週末の終電後などタクシー乗り場に行列ができるようなシーンで、駅から少し離れた場所で配車してスムーズにタクシーに搭乗するといった裏ワザ的な使い方をするユーザーも増えてきたという。

運転手さん「アプリ配車では無断キャンセルが多いんだ」

ドライバー側から見た使い勝手についても聞いてみた。

車内にはMOV専用のスマートフォン端末が設置されており、操作や迎車場所の表示などすべての管理はこの端末一つで行うとのことだ。ドライバー側の操作も難しいことはなく、導入に対する不満や苦労は特に無かったという。

ただし、従来の電話による配車方式と比べると、アプリ配車では無断キャンセルが多く困っているドライバーが多いという。手軽に配車が完了する反面、待っている間に空車のタクシーを見つけると、軽い気持ちでそちらに乗ってしまうユーザーが多いようだ。

アプリ利用時にひらがなでの名前登録は必須となっているが、電話番号や住所など個人を特定できる情報は必要ないのも無断キャンセルの多さに影響しているかもしれない。普及が進んで無断キャンセルが増えるようなら、個人情報の登録やキャンセル料の設定なども必要になってくる気がする。

「ネット決済」を選択したので現金のやり取りはナシ

ドライバーにいろいろ聞いているうちに、あっという間に目的地の横浜駅に到着した。今回はネット決済(クレジットカード決済)を選択したので、現金での支払いは必要なく、タクシー内の端末と自分のスマートフォン画面に料金が表示され、今回の利用は完了した。

利用料金は基本運賃の730円と迎車料金の310円で合計1040円だったが、500円割引のクーポン適用で実質540円となった。アプリ配車時の予想料金は合計1350円だったため、当初よりも安くなっているが、恐らくドライバーが最適なルート選択をしたためだと思われる。

紙の領収書が発行されたがクーポン利用については記載されておらず、クーポンを適用したことが記載されている領収書を受け取るためには、アプリ上から発行手続きをする必要があるとのことだった。

あとで乗車履歴から呼び出して発行することもできるため、ビジネスマンなどの場合は会社に帰ってから処理することも可能だ。到着後の支払いがないので、終電に乗るために急いでいるシーンなどでもとても活躍しそうだ。

▼実際の乗車記録
・移動距離:1.8km
・乗車時間:5分
・利用料金:1040円(※クーポン適用前)

▼予約時の予想
・移動距離:2.6km
・乗車時間:9分
・利用料金:1350円(※クーポン適用前)

■【検証を終えて】配車アプリが主流となる日は近そう

実際にタクシー配車アプリを使用してみて、非常に使いやすく便利なサービスだと感じた。数百円程度の配車料金がかかるが、急いでいる時や流しのタクシーが捕まりづらいエリアでは価格に見合う価値がある。ただし、無断キャンセル対策や目的地登録機能など、さらなる普及に向けて改善の余地はありそうだ。

■日本における主要なタクシー配車アプリ

記事の前半でも説明したが、日本国内では既にタクシー配車アプリが複数存在する。JapanTaxiやMOV、DiDi、UBER、S.RIDEなどだ。最後に各アプリについて概要を説明する。ちなみに各アプリの詳細な解説は自動運転ラボの「【最新版】タクシー配車アプリや提供企業を一挙まとめ 仕組みも解説」を参考にしてほしい。

JapanTaxi:日本国内最大手で900万ダウンロード達成

JapanTaxiは国内最大級のタクシー配車アプリで、日本の47都道府県すべてでサービスを提供している。2019年12月にはアプリの累計ダウンロード数が900万を突破したことが発表され、既に1000万ダウンロードも目前となっている。

JapanTaxiは全国のタクシー台数の約3分の1に相当する7万台のネットワークを形成している。ウェブ配車機能や代理配車機能、請求書払い機能などを備えた「JapanTaxi BUSINESS」の展開も好調で、2019年末には利用登録数が1000社を超えたことが発表されている。

MOV:DeNAが展開するタクシー配車アプリ

タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」は株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が展開するタクシー配車アプリだ。以前は「タクベル」の名称でサービスを展開していた。2018年4月にまず神奈川県でサービス提供を開始し、2019年12月時点では東京や大阪、京都、兵庫でも利用可能だ。2020年には配⾞回数で日本国内で「1位」となることを目指している。

乗客向けのサービスとしては「事前確定運賃」も導入しており、タクシー乗務員向けにはAI(人工知能)で乗客探しを効率化する「AI探客ナビ」のサービスも展開している。

DiDi:中国大手とソフトバンクの合弁会社が展開

中国ライドシェア大手のDidi Chuxing(滴滴出行:ディディチューシン)とソフトバンクが合弁の日本法人DiDiモビリティジャパンを設立し、タクシー配車アプリ「DiDi」を展開している。中国人旅行者は中国で使用しているDiDiをそのまま日本でも使うことができる。日本人は新たにアプリのダウンロードが必要だ。

サービス展開エリアを急拡大しており、その勢いは新興のタクシー配車アプリ勢の中でも目を見張るものだ。2019年7月には配車アプリ部門でダウンロード数1位を獲得したことも発表されており、最大手のJapanTaxiを猛追している印象だ。

DiDiもタクシー需要が高いと見込まれる場所をAIが教えてくる「DiDiヒートマップ」という機能を乗務員向けに提供している。

S.RIDE:ソニー系のみんなのタクシーが展開

S.RIDEはソニー系のみんなのタクシー社が展開するタクシー配車アプリ。2019年4月にまず東京都内でサービスを開始し、今後横浜などを含め展開エリアを拡大していく見込み。みんなのタクシーの株主は、ソニーとソニーペイメントサービス、東京都内のタクシー会社5社で、東京都内における5社のタクシー車両数は1万台を超えている。

みんなのタクシーは2019年11月に事業説明会を開催し、1日当たりの配車件数が2019年4月と2019年9月の比較で18倍以上になっていることを明らかにしている。後部座席に設置した車載タブレットでの広告事業も好調で、満稿状態が続いているようだ。

Uber Taxi:ライドシェアではなくタクシー配車事業を展開

ライドシェア世界大手のウーバーは、日本ではタクシー配車事業を展開している。サービス提供エリアを徐々に拡大しており、2019年7月時点で、淡路島(実証実験)、名古屋、大阪、仙台、青森、郡山、広島、京都、福山で利用可能となっている。

■【まとめ】ユーザー獲得争い、既に過熱の様相

タクシー配車アプリはこの数年で一気に数が増え、ユーザーの獲得争いが過熱している。プロモーションやクーポン発行などの施策も各社が積極的に展開しており、数年後の勢力図はがらっと変わっていることも考えられる。今後の業界の動きに注目だ。

【参考】関連記事としては「タクシー配車アプリ戦争、5強体制の様相 勢力図は?」も参照。







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