タクシー配車アプリ「MOV」を徹底解説!DeNAが展開、プロモーションは?

AI技術でマッチング効率向上へ





撮影:自動運転ラボ

国内で乱立するタクシー配車サービス。海外ライドシェア勢の進出によりシェア獲得競争はいっそう激化の様相を呈している。そのような中、全国展開を見据えた国内IT系も本格進出を果たした。株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長兼CEO:守安功)=DeNAの「MOV」だ。

IT系らしくAI(人工知能)を生かした配車サービスを武器に、神奈川県、東京都から近く関西にも進出し、配車サービスのシェア拡大とともに利便性を高め、利用者数の底上げを図っていく構えだ。







MOVの特徴はどのようなものか。そして将来どのような展開を見据えているのか。同社のオートモーティブ事業の戦略に迫ってみよう。

■アプリのダウンロード方法

スマートフォンから「Google Play」や「App Store」を開き、「MOV」で検索すると「MOV《モブ》- タクシー配車」というアプリがヒットするので、これをインストールする。インストールはもちろん無料だ。

初期設定では、①携帯電話番号の登録②携帯電話番号に送られるSMS(ショートメッセージサービス)に記載された4桁の認証コードの入力③氏名・性別・生年月日・キャンペーンコードの登録(氏名のみ必須)④利用規約に同意―を行い、端末の位置情報へのアクセスをアプリに許可すれば完了となる。

メールアドレスの登録は任意で、スマートフォンを機種変更する場合などアカウント情報を引き継ぐ際に必要となる。

■アプリの使い方

アプリを開くとマップ画面が表示されるので、マップ上にピンを立てて(タップして)乗車位置を指定し、「タクシーを呼ぶ」ボタンを押せば迎車予約が完了する。行き先を指定せずにタクシーを呼ぶことや、「行き先を入力」ボタンを押すことで事前に行き先を指定することもできる。

予約完了後は、タクシーがあと何分で到着するかリアルタイム表示されるほか、行き先を指定すれば、料金の目安なども表示される。

支払方法は、事前に登録したクレジットカードによる「ネット決済」と、配車されたタクシー事業者が対応している現金や電子マネーなどの「車内決済」を選択できる。

所持している各種クーポンは、ネット決済を選択した場合のみ使用可能となる。支払い方法でネット決済を選択するとクーポンが表示されるので、使用したいものを選べばOKだ。

配車依頼時のキャンセルについては、配車されるタクシーが決定するまでの間は無料でキャンセルできる。配車依頼完了後も画面右上の「・・・」ボタンから「配車の依頼を中止する」をタップすることでキャンセルできるが、所定のキャンセル料金を徴収される場合もあるので注意が必要だ。

■サービス提供エリア

2019年1月時点におけるサービス提供エリアは、東京23区と武蔵野市・三鷹市、及び神奈川県内の愛川町・二宮町を除く全市町村(一部地域を除く)となっている。

また、MOVに対応したタクシー会社は、荏原交通や日の丸自動車グループ、平和自動車交通、東都自動車、平和交通羽田、第一交通産業グループの東京都内6社と、ケイエム交通や東宝タクシーなど神奈川県内の82社となっている。協業するタクシー事業者も増加を図っていく予定だ。

■評判:「早朝でもすぐ配車完了」「0円タクシーに乗れた!」

インターネット上には「早朝でもすぐに配車が完了した」「タクシー到着時間がわかるため、外で立って待っていなくて良い」「タクシー会社を探して電話で予約する手間が省けて便利」「位置情報で搭乗場所を知らせることができるため、住所がわからないような場所で有効」「0円タクシーに乗ることができた」といった称賛する声が挙がる一方、「マップの使い勝手が悪く、入力した行き先と違う場所がマッピングされた」「配車はスムーズだったが、クーポン利用のネット決済がなぜかできなかった」などアプリの問題を指摘する声もあるようだ。

なお、多くの配車アプリに共通する事項として、GPSの精度による位置情報の誤差や迎車料金を加算されるケースなどがあるので、あらかじめ納得の上利用して無用なトラブルは避けるようにしよう。

■DeNAのMOV戦略とこれまでのニュース
2017年9月に「タクベル」として実用実験からスタート

MOVは2017年9月、AIを活用したタクシー配車アプリ「タクベル(現MOV)」の実用実験として横浜市でスタートした。AIによる需要予測や乗務員用の専用端末とユーザー向けのアプリを直接連動させた次世代タクシー配車サービスで、運行中の車両から収集するビッグデータとタクシー需要に関連する各種データを解析することで、乗りたい時にすぐ乗れる利便性や、タクシーの稼働率向上などを目指している。

配車アプリとしては後発組だが、これまでの国内の配車アプリはユーザーが持つスマートフォンなどの端末アプリとタクシーの無線機をつなぐ「無線機連携版アプリ」で、ドライバー側でできることは限られていた。そこでMOVは、タクシー車内にスマートフォンを1台置き、ユーザーのアプリとドライバーのアプリを直接つなぐ「アプリ連携方式」を採用した。これにより、ドライバー側で可能となることが爆発的に増えるという。

2018年4月に正式スタート 神奈川広域、そして東京へ

2018年4月に正式にサービスをスタートし、同年7月に神奈川県広域、12月に東京23区などへ順次エリアを拡大している。2019年春には京阪神エリアでの展開が決定しており、各地のタクシー事業者と連携し、都市圏を中心に順次全国各地へと拡大していく予定だ。

また、東京進出を機に名称をタクベルからMOVに変更し、リブランディングを図るとともに新しい移動体験を実現する「PROJECT MOV」を始動した。

MOVの名称は「移動、人の心を動かす、感動させる」などの意味を持つ「MOVE」に由来しており、タクシー業界に新しい風をおこし、タクシー事業者と共に進化・新しさを発信していくため、「ちょっと先の未来(新しさ)」と「移動」を感じられるようなコンセプトとして考案したという。

衝撃的だった「0円タクシー」の発表

東京進出時には、「PROJECT MOV」の第一弾として乗客の利用料金が無料となる「0円タクシー」を期間限定で実施した。契約スポンサーとMOVの広告宣伝費によって乗客が支払う利用料金を無料にするフリービジネスモデルで、乗客と交通事業者をマッチングする2者間モデルから、企業などを巻き込んだ多者間マッチングモデルへの進化を図っている。

また、同年12月には、システムオリジン、西菱電機、JVCケンウッドと2019年中の配車システムの連携を目指す検討を開始することを発表。乗務員がMOVの乗務員専用タブレットで電話などの配車依頼も一元的に管理可能にするシステム開発を目指すこととしている。2019年1月には、新潟通信機とも同様の取り組みを行っていく発表がされている。

【参考】アプリと無線システムの連携については「DeNAのタクシー配車アプリ「MOV」、専用タブレット端末で電話配車依頼も一元管理へ」も参照。

2019年2月には、タクシー車内の乗客向け後部座席タブレットの提供を開始する予定で、3月までに1万5000台の搭載を目指すこととしている。タクシーメーターと連動した車内案内や料金表示のほか、ニュースや交通情報などのコンテンツを提供する予定で、多言語対応しており訪日外国人なども利用できる。

将来的には、MOVで配車利用した乗客だけでなく、導入車両に乗車する全ての乗客がスムーズに決済できるようなQRコード決済機能や、最適なコンテンツ配信をおこなうための性別・年代推定機能、提供コンテンツ拡充などを実施予定という。

需給予測をしながら経路ナビ、「AI探客ナビ(仮称)」も導入へ

さらに今後、AIを活用してタクシーの需給予測をしながら経路をナビゲーションするシステム「AI探客ナビ(仮称)」を導入予定で、運行中のタクシー車両から収集するプローブデータ(自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された道路交通情報)とタクシー需要に関連する各種データ(気象、公共交通機関の運行状況、イベント、商業施設などのPOI 情報、道路ネットワーク構造など)を解析し、ドライバーをリアルタイムかつ個別に乗客が待つ場所まで誘導できるようにする。

これにより、タクシードライバーは目的地を入力することなく、この「AI探客ナビ(仮称)」に従って走行することで効率的に乗客を探すことができ、乗客もよりスピーディにタクシーを捕まえることができるようになるという。

なお、こうしたインターネットとAIを活用した交通イノベーションプロジェクトはMOVだけではない。DeNAのオートモーティブ事業には、カーシェアプロジェクト「Anyca(エニカ)」や、自動運転技術を用いた無人運転車両で自由な移動を実現する「EasyRideプロジェクト」、自動運転バスで地域の足を作る「ロボットシャトルプロジェクト」があり、いずれも最新の技術や発想を盛り込んだ新しい時代の移動サービスだ。

日本は交通領域において世界トップレベルの企業が揃っており、これらの企業とパートナーシップ体制を構築することで、交通専門技術と同社の「インターネット×AI」テクノロジーを組み合わせ、あらゆる人やモノが安心・安全に移動できるよう日本の交通システムにイノベーションを起こしていく構えだ。

■AI開発で配車サービスの主導権奪取なるか

タクシードライバーと乗客をマッチングさせるという配車アプリが担う役割について、AIを用いてさらなる進化を図る同社。タクシー事業者単体ではなかなか取り組みにくい分野だが、自動運転分野同様モビリティ企業とIT系企業が連携することで大きな相乗効果が生まれる可能性は高い。

AI開発などの加速によって目に見える成果や新サービスを創出すれば、タクシー配車サービスの主導権を同社が一気に手繰り寄せることも考えられる。MOVをはじめとした同社のオートモーティブ事業の今後の動向には要注目だ。







関連記事