みんなのタクシー株式会社とは 会社概要は?ソニーが参加し配車アプリ開発

東京事業者5社などで旗揚げ


海外の有力ライドシェア事業者が相次いで日本国内のタクシー配車事業に進出している。米Uber社、中国DiDi社が国内タクシー事業者と提携し、配車プラットフォーム提供サービスを拡大する勢いだ。







相次ぐ外資の参入に、日本勢からも対抗勢力が生まれようとしている。東京都を拠点とするタクシー事業者5社とソニーら計7社が立ち上げた、新たなタクシー関連サービス事業を行う「みんなのタクシー株式会社」だ。

今回は、この日本発の会社がどのような目的で立ち上げられ、今後どのような事業を行っていく方針なのかを掘り下げてみよう。

■会社概要

2018年5月31日、AI(人工知能)技術を活用してタクシーの配車サービスや需要予測サービスに関する事業のあり方を検討する準備会社として、「みんなのタクシー株式会社」が設立されたことが発表された。

その後、株式会社グリーンキャブ、国際自動車株式会社、寿交通株式会社、大和自動車交通株式会社、株式会社チェッカーキャブのタクシー事業者5社と、ソニー株式会社とソニーペイメントサービス株式会社の計7社の株主の合意によって、2018年9月に事業会社に移行したことが明らかになった。

AI技術のほか、イメージング・センシング技術を活用し、タクシーの配車サービスや決済代行サービス、後部座席広告事業などのサービスを2018年度中に提供開始予定という。

本社は東京都台東区に構え、資本金は6億円。出資比率はタクシー会社5社が55%、ソニーとソニーペイメントサービスが45%とした。代表取締役にはソニーの西浦賢治氏が就任し、常勤取締役に髙野康央氏(グリーンキャブ)、非常勤取締役に玉井久視氏(ソニー)、小山哲男氏(大和自動車交通)、田中慎次氏(国際自動車)、秋山利裕氏(チェッカーキャブ)がそれぞれ着任している。

みんなのタクシーが提供するサービスは、参画を希望する全国のタクシー事業者が利用できるプラットフォーム上で提供する予定。プラットフォームでは、個別サービスからフルパッケージのワンストップソリューションまで、各事業者に即した複数の選択肢を提供できるよう開発を進めている。

なお、2016年度の推計データによると、全国のハイヤー・タクシー総台数は23万4486台で、このうち東京は20.4%にあたる4万7757台となっている。みんなのタクシー参画5社の総台数は1万台強で、東京都内の4分の1から5分の1を占める規模だ。

■設立の背景や狙い

タクシー業界では現在配車プラットフォームづくりが過熱しており、自前でアプリ運営を行う事業者もあれば、東京ハイヤー・タクシー協会が運営する東京最大の配車アプリ「スマホdeタッくん」などもある。

ここにUberやDiDiが進出し、海外の実績をもとにタクシー事業者の囲い込みを進めている状況だ。タクシー事業者としては、実績ある大手に乗っかるのは楽かもしれないが、後々主導権を握られることになりかねない。できれば横のつながりを構築し、規模のメリットと主導権を発揮しながら質の高いプラットフォームサービスを提供したいという本音がある。その本音に応えたのが、ソニーが発案したみんなのタクシーだ。

ただ単に配車サービスや決済代行サービスを提供するのではなく、タクシーの動態データや走行データなど膨大な情報をAIやIT技術を活用して分析することで、需要予測サービスの展開や事故の未然防止、新たな広告事業などにつなげることもできる。みんなのタクシーには、そういった将来価値に主体的に取り組める環境が用意されている。

まずは東京とその近郊をカバーし、サービスの認知度や安定性を高めてから広域拡大を進め、「ダイナミックプライシング」(事前需要状況に応じて価格変動させること)や「事前確定運賃」など、新たなサービスの研究・創出を図っていく構えだ。

■参画企業
株式会社グリーンキャブ:旅客輸送から観光まで広く対応

ハイヤー・タクシー事業を核に、旅客輸送、レジャー・観光、芸術・文化におよぶ広範囲な分野でグループとしてサービスを追求している。

最新情報によれば、車両はタクシー1316台、ハイヤー52台、ワゴンタクシー4台、貸切バス22台、福祉バス6台、福祉タクシー15台の計1415両を所有している。

【参考】グリーンキャブの公式サイトは「こちら」。

国際自動車株式会社:まもなく創業100年の老舗

「kmタクシー」でおなじみの国際自動車は、1920年(大正9年)創業の老舗で、2018年4月1日現在でタクシー3667台、ハイヤー521台、バス170台を抱える旅客運送事業の総合企業だ。

2018年10月から11月まで、大和自動車交通と共同で変動迎車料金の実証実験を行うほか、2018年11月からは、JR東日本が構築するモビリティ・リンケージ・プラットフォーム「Ringo Pass」と国際自動車のタクシーアプリ「フルクル」を連携する実証実験を開始する。この連携により、「Ringo Pass」アプリの利用者が、一つのアプリでタクシーをはじめとした複数の移動サービスを利用できるようになる。

【参考】国際自動車の公式サイトは「こちら」。

寿交通株式会社:ロボットやAIにできないことを追求

三鷹市・武蔵野市・23区を営業区域とするタクシー事業者。車両保有台数は54台。2018年度は「ロボット・AIにはできない仕事」をスローガンに掲げ、「ロボットが人間に代わって運転をする時代は、現実にはまだまだ先のこと」とし、時代の変化を踏まえつつも「人にしかできないこと」を追求する姿勢だ。

【参考】寿交通の公式サイトは「こちら」。

大和自動車交通株式会社:各種実証実験に積極的に参加

創業以来70余年にわたりハイヤー・タクシーを事業の柱とし、業界初の株式上場も果たした旅客運送業界大手。最新情報によれば、ハイヤー180台、タクシーは業務提携会社含め2472台、福祉ハイヤー7台を有する。各種カードでの支払い、自動配車受付サービス(IVR)やスマートホン配車などサービスの多様化に取り組んでいる。

2018年9月には、東京・豊洲の公道で複数の自動運転車両を用いたオンデマンド移動サービスの実証実験に参加。2018年10月からは、国際自動車と共同で変動迎車料金の実証実験を開始しているほか、国土交通省が実施する定額タクシー運賃の実証実験にも参加するなど業界の改革に積極的に挑んでいる。

【参考】大和自動車交通については「大和自動車交通、台湾のタクシー業者と提携 双方の配車アプリを双方のユーザーに」も参照。大和自動車交通の公式サイトは「こちら」。

株式会社チェッカーキャブ:加盟50社を誇る協同組合

チェッカーキャブ無線協同組合を統括する会社組織。協同組合加盟会社は50社、保有台数は3800台を数える(2017年4月時点)。

ドライバーのおすすめグルメや、公式キャラクター「チェックル」を用いた社名表示灯搭載車を限定5台運行するなど、エンターテインメントに力を入れているようだ。

【参考】チェッカーキャブの公式サイトは「こちら」。

ソニー株式会社:AIやIT技術生かしプラットフォーム構築

モバイル・コミュニケーションをはじめゲームやエンターテインメント、半導体、音楽、映画、金融など幅広く事業展開するコングロマリット。自動運転の分野では、車載向けイメージセンサーの開発に力を入れている。

ソニーペイメントサービス株式会社:規模のメリットで手数料削減目指す

eコマースなどを手がける事業者に対し、インターネット上の決済インフラ、サービスなどを提供する会社。クレジットカードをはじめ、Apple Pay、外貨、コンビニ、電子マネーなど、さまざまな決済手段に対応している。みんなのタクシーでは、決済代行サービスを担う。

■配車システムの変革期迎え競争が過熱

タクシーの配車は、アナログ回線を通したタクシードライバーとオペレーターによる通話主体の配車業務から始まった。利用者からの電話を受けたオペレーターがタクシードライバーに指示を出して配車する仕組みは今もなお続いているが、若年層を中心にスマホからアプリを通じて配車を依頼するケースは今後も増加が見込まれており、一連の配車システムに変革期が訪れている。

従来オペレーターが担っていた役目をシステムが行い、さまざまな情報を収集・分析して効率よく配車する。こういったプラットフォームの導入・転換期が今まさに到来しており、外資をはじめとした主導権をめぐる覇権争いが繰り広げられているのだ。







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