タイヤ王の米グッドイヤー、半世紀前に自動運転コンセプト 復刻モデルを展示

自動ブレーキシステムも搭載!?



Golden Sahara IIの復刻モデル=出典:日本グッドイヤー株式会社プレスリリース

米大手タイヤメーカーのグッドイヤー(Goodyear)らが2019年3月に開催されたジュネーブ国際モーターショーに出展したモデル「Golden Sahara II」が非常に興味深い。半世紀以上前の復刻モデルだが、自動ブレーキシステムなど当時ではなかなか考えられないような自動運転技術を搭載している。

Golden Sahara IIは1950年代と60年代における象徴的なカスタムカーで、カスタムカーデザイナーであるジョージ・バリスが所有していた1953年製のリンカーンカプリに、カスタマイザーであるジム・ストリートが改造を加えたもの。


新しい電子システムを実験するプラットフォームとしてカスタムされており、航空機のコントロールレバーにインスピレーションを受けたアクセルやブレーキ、ハンドリングの制御システムと、車の進路上にある障害物を感知するセンサーを搭載した自動ブレーキシステムを備えている。

また、グッドイヤーが半透明構造のネオタンを使って開発したタイヤを装着しており、タイヤに内蔵されている発光装置により、悪天候下におけるタイヤの視認性向上やブレーキと連動してタイヤが発光する仕組みなど、当時の研究成果が試されていた。

Golden Sahara IIは全盛期には全米各地を巡り、数多くのテレビ番組や映画に登場したという。その後約50年もの間倉庫で眠っていたが、2018年5月にクラシックカーやカスタムカーを所有するミュージアム「Klairmont Kollections」がオークションで車両を購入し、カスタムメーカー「Speakeasy Customs & Classics」の協力のもと修復された。タイヤはもちろんグッドイヤーの半透明タイヤを装着している。

■「M city」の研究にも参画

グッドイヤーにとってGolden Sahara IIは自動走行車の最初のコンセプトの一つで、自動運転社会の未来を形成する第一歩だったという。


同社は近年、自動運転や電気自動車(EV)など新しいモビリティに対応したタイヤの開発を進めており、2017年には自動運転向けコンセプトタイヤ「Eagle 360 Urban」「IntelliGrip Urban」「CityCube」3種を発表している。AI(人工知能)技術やセンサー技術を搭載したハイテクタイヤで、自動運転に通じる未来志向型タイヤのあり方とその革新的技術を提案している。

また、2018年には、米ミシガン大学が主導する官民研究機関「M city(エムシティ)」の研究に参画し、自動運転車両やコネクテッドカー関連技術の研究・開発を促進することを発表している。

このほか、今期のジュネーブ国際モーターショーでは、空飛ぶ自動車用に設計されたコンセプトタイヤ「AERO」も発表している。マルチモーダルな傾くローターをコンセプトに、車両を持ち上げるための揚力を与えるファンブレードとしての機能や磁気推進力、タイヤ自体の構造健全性をモニターするオプティカルセンシング技術、タイヤのセンサーからの情報や車両間、車両とインフラ間で伝達される情報を組み合わせるAIプロセッサーなどが搭載されているようだ。

自動運転車や空飛ぶクルマの実現は車両を構成するさまざまなパーツに革新が起きて初めて実現する。グッドイヤーもその実現のための一翼を担っている。


【参考】グッドイヤーの自動運転向けコンセプトタイヤについては「タイヤにもAI搭載!? 凸凹が自動変形 自動運転向けに米グッドイヤー」も参照。


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