福岡県地域振興部交通政策課は、県民の自動運転に対する意識調査も含む「平成30年度 県政モニターアンケート調査」の結果を2019年2月19日までに公表した。
福岡県を含む全国の地方都市ではバス路線のドライバー不足が慢性化し、解決手段として「自動運転」への期待が高まっている。このアンケートは県民の自動運転に対する考え方や要望、不安などを調査し、県内へのスムーズな導入に役立てる目的で実施された。
調査は2018年7月24日〜8月2日の期間で実施され、374人が回答した。日常生活での自動車の利用状況や、福岡県内への自動運転導入の賛否など選択回答のほかに、自由回答で様々な意見が集まった。
■「県内への導入賛成」との意見、一方で「周知不足」との指摘も
安全性などのメリットが得られることから県内での導入に賛成する意見がある一方、一般市民への十分な周知が不足しているという指摘もあった。現状ではどのような仕組みなのか分からないので賛否を問われても回答ができないという意見もあり、今後は十分な広報活動で理解を得る必要がありそうだ。
■「実証実験を十分に」「暴走大丈夫なの?」という危機感も
実証実験を十分に行ってから導入するべきという提案も見られた。トラブルによる暴走が発生した際に乗員が緊急停止可能なのか、などの明確な安全対策の提示を求める声もある。安全な実験環境が整備できれば県内でのテストに賛成するという意見は多く、実施されれば実用化の際に導入がしやすくなるだろう。
■税金投入や雇用が奪われることを危惧する声も
自動運転に対応する道路整備のため税金の投入を危惧する意見もある。実用化に向けた環境整備の予算を確保するためには、自動運転導入のメリットを明確化し、全体に周知し全体をまとめることが必要となるだろう。
全ての車両が自動運転化すると、雇用が奪われるのではないかという意見もあった。収益が見込めないバス路線の継続目的に限り導入するなど、部分的な実用化が求められている。
■公共交通の自動運転化への賛成は51.9%
今回のアンケートでは公共交通の自動運転化への賛成は51.9パーセントだった。県民の意見を県政に活かし理解を得られれば賛成意見も増え、実用化への取り組みも行いやすくなる。
自動運転社会の実現には、社会受容性の醸成が必要不可欠だ。福岡県は先進技術の導入に積極的な自治体の一つ。こうしたアンケート結果から県民の声を吸い上げつつ施策立案に役立てていけば、全国的にも自動運転の導入がいち早く進んでいくことが期待できそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転車に実証実験・テスト走行が必須な理由 実用化に向けて回避すべき危険・リスクは?」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 23, 2018