東京都(知事:小池百合子)がいよいよ自動運転事業の支援を本格的にスタートする。2018年度に約8400万円の関連予算を初めて確保し、自動運転の実証実験もサポート。慢性的な渋滞や公共交通機関の人手不足、高齢者の移動手段確保などの交通課題を、自動運転技術の開発やサービス創出支援によって解決することが狙い。
東京都がこれに先駆けて政府と共同で2017年9月に立ち上げた「東京自動走行ワンストップセンター」は、自動運転の実証実験を希望する企業の相談や行政手続き支援の窓口として機能し、初の予算化への足がかりとなった。
8400万円の予算のうち、最も大きく振り分けたのが「ビジネスモデル構築に向けた調査検討」事業。民間への委託事業として約半分の4000万円を計上し、公募によって2つのプロジェクトを選定した。
■日の丸交通とZMPの自動運転タクシー実証にも期待感
そのうちの1つは、日の丸交通株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:富田和孝)と自動運転技術ベンチャーの株式会社ZMP(本社:東京都文京区/代表取締役社長:谷口恒)による、自動運転タクシーのサービス実証。2018年8月27日から千代田区と港区で実験を始める。
もう1つは、神奈川中央交通株式会社(本社:神奈川県平塚市/取締役社長:堀康紀)が、ソフトバンクグループのSBドライブ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐治友基)と取り組む多摩ニュータウンでの自動運転バス運行。交通弱者である高齢者の足となりうるかの実証実験を、2018年11月に行う。
この取り組みは、東京都の「2020年に向けた実行プラン」内の「スマートシティ」施策の一環。東京都が自動運転実験を実施するのは今回が初めてではあるが、今後はさらに各種実験に取り組み、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年には、その最先端技術を世界にお披露目したい考え。
【参考】実証実験は各地で企業や大学が個別に実施しているものも多い。自治体としては大阪府が2019年に自動運転の実証実験を行うと発表したことが最近話題になった。詳しくは「大阪府で初のAI自動運転実証実験 健康寿命の改善目的 ドコモや南海バスと実施へ|自動運転ラボ 」も参照。
自動運転で"自動長寿" 大阪府が初の実証実験を実施する理由 河内長野市でイノベーション https://t.co/uILnnaH66h @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) August 9, 2018