新型コロナウイルスが世を席巻した2020年。例外なく自動車業界も大打撃を受けたが、ウィズコロナ時代における自動車や自動運転技術の必要性が見直されたことなどを背景に、中国や北米といった海外マーケットを中心に思いのほか早い立ち直りを見せた。
自動運転をコアにしたCASE時代においては、最新のセンサーや画像処理、モーター関連(EV系)など、新しい要素技術をもった部品メーカーや技術系企業が旺盛な需要を享受し、海外展開を積極化させている。
自動運転ラボ白書「CASE分野での海外展開事例及び有望企業〜新型コロナウイルスで世界的に見直される自動車の価値〜」では、こうした観点からすでに海外展開している日本企業の事例をはじめ、CASE分野で海外展開を計画している企業や海外展開が有望な日本企業をセグメント別に紹介した上で、海外展開に必要な取り組みについて触れた。
■日本企業の海外展開事例や有力企業を計18社紹介
白書「CASE分野での海外展開事例及び有望企業」では、すでにCASE分野で海外展開している企業7社をピックアップして紹介しているほか、海外事業の有望企業として計11社を取り上げた。
CASE分野での海外展開事例
・パナソニック
・小田原エンジニアリング
・日本電産
・ACCESS
・ティアフォー
・WILLER
・スマートドライブ
セグメント別の有望企業
<部品・半導体分野>
・デンソー
・ルネサスエレクトロニクス
・アイシン精機
・豊田合成
<センサー分野>
・パイオニア
・ソニー
・日立
<技術分野>
・OTSL
・Spiral
<MaaS分野>
・オプティマインド
・MONET Technologies
■海外展開に必要な要素についても解説
白書では、日本企業がCASE分野における海外展開で必要な要素についての解説コラムも掲載した。
海外では、文化や風習、場合によっては宗教観なども考慮してマーケティングを進めていく必要があるほか、グローバルな人材確保や現地化に向けた取り組みも重要だ。また、自社完結型の展開ではなく、海外の同業他社をパートナーとする形態も検討の余地が十分にある。
このほか、海外では資材管理に関わるガイドラインやロジスティクスに関する評価方法がまとめられた「MMOG/LE」が重要な規格として位置付けられており、こうした国際的な業界標準についても事前に把握することも重要だ。
同様に、余力のある資金や決断力・決断スピードなども重要となる。特にCASEをはじめとした次世代領域においては、あらゆる面でスピード感が求められるからだ。
白書が、既に海外事業を展開している企業もしくは海外展開を検討している企業の担当者にとって、戦略策定の一助となれば幸いだ。