ホンダは日本で解禁される「自動運転レベル3」(条件付き運転自動化)を搭載した車両を今年発売する。いつでも運転手がシステムと運転を代われる状態でなければならないが、将来の完全自動運転化に向けた大きな一歩として注目される。
ホンダが自動運転レベル3の車両を発売すれば、日本勢としては初となる(海外メーカーではアウディのA8が「世界初」となっている)。ただこうした中で気になるのが今後のトヨタの動きだ。ホンダのレベル3発売にトヨタはどのような動きで対抗するのか。
■自動運転ではトヨタが先行してきた感がある
自動運転技術の開発に関しては、ホンダよりトヨタの方がこれまでに多くの取り組みが発表されてきた。自動運転EV(電気自動車)の「e-Palette(イーパレット)」やアメリカの拠点で開発する実験車両などに、2019年は大きな注目が集まった。
そして2020年、トヨタは東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、レベル3の上をいく「自動運転レベル4」(高度運転自動化)の公道実証を行い、五輪の選手村ではe-Paletteの特別仕様車で選手の移動を支援する。
自動運転で海外企業との連携も加速させており、自動運転ではトヨタが日本勢では「本命」と思われていた節もある。既に自動運転タクシーの実証実験を開始している日産などに比べても、ホンダはやや出遅れ感が否めない状況だった。
そんなホンダが2020年に市販車の一部自動運転化でトヨタを出し抜くことを、トヨタはどう受け止めるのだろうか。
■考えられるトヨタの3つの動き
考えられる動きは少なくとも3つある。一つは、トヨタもレベル3の車両発売で対抗すること。ホンダと同時期もしくはそれより遅いか早いかは分からないが、同じようにレベル3の搭載車の発売を開始することは十分に考えられる。
もう一つは、市販車へのレベル3搭載は2020年は見送るということ。レベル3には「罠」があると言われている。自動運転システムが稼働中も人は常に運転操作を代われるよう緊張状態を維持しなければならないが、それはなかなか難しいという指摘がある。そのため、レベル3開発を見送るメーカーもある。
ほかにも、自動運転技術の実用化に関してはまず「サービス」として展開することを出発点に据えることも考えられる。個人が乗る自動車ではなく、タクシーやバス向けの技術や車両を開発するという考え方であれば、e-Paletteの開発に注力していることも合点がいく。
■【まとめ】2020年は「レベル3」に注目
2020年はレベル3が解禁される年となり、レベル3に関するさまざまなニュースが報じられるはずだ。トヨタやホンダ、そして日産やスズキのほか、トラックメーカーの日野自動車やいすゞの動きにも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「ホンダが発売予定の「自動運転レベル3」、法改正でどう解禁される?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)