スウェーデンのボルボグループとアメリカの半導体大手NVIDIAは2019年6月20日までに、自動運転プラットフォーム「NVIDIA DRIVE」を活用した自動運転車両開発のパートナーシップを結んだことを発表した。
具体的な取り組みとしては、AI(人工知能)による自動運転トラックを開発し、公共輸送や貨物輸送、リサイクル収集、建設業、鉱業、林業などのトラックを使う業界で活用を目指すという。両社は既に、スウェーデンのヨーテボリとアメリカのシリコンバレーに共同の開発チームを立ち上げている。
■自動運転トラックで輸送効率向上を目指す
両社は自動運転開発を進める背景として、EC(電子商取引)サイトによるオンラインショッピングの増加によって輸送業界の需要が増加していることを挙げている。2019年現在、世界中では毎日3500万個の荷物が配達されていて、毎年約3割のペースで増えているという。
人間と違い、自動運転トラックは24時間連続で稼働することができるため、これらの物流課題を解決できる。米調査会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、自動運転トラックを実用化すると効率が上がることで、アメリカ国内の物流コストが45%削減できるという。
自動化の恩恵は物流業界に留まらない。林業や建設業など、世界中のトラックを自動運転化することで一度に多くの荷物を積み、休憩をとることなく遠くまで運ぶことができる。短距離輸送から高速道路を使用する長距離輸送まで運送業界全体を効率化することができるという。
■仮想シミュレーションシステムで安全性も追求
自動運転トラックの実用化を目指すにあたっては、効率化だけでなく、安全性の問題もクリアしなければならない。ボルボは路上走行を行う前に、「NVIDIA DRIVE Constellation」を活用した仮想シミュレーションを予定している。
このシステムは仮想現実で現実世界と変わらないシミュレーションを可能にするものだ。実際の路上を走る前に様々な条件下で自動運転システムをテストすることで課題に対処し、安全な状態になってから路上を走らせることが可能になる。
ボルボCEO(最高経営責任者)のコメントによると、両社の協業は長期的な活動を予定しているという。両社は新しい自動運転トラックによって効率的なサービスの提供を目指す。
【参考】関連記事としては「ボルボが初の自動運転トラック提供 運んだ重量に応じた課金制に 鉱山で活躍」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 25, 2018