【資料解説】「物流MaaS勉強会」取りまとめ、その概要は?

物流業界を取り巻く現状や課題は?



経済産業省はこのほど、2019年12月に開催した物流MaaS勉強会の成果を取りまとめ、その内容を発表した。この取りまとめの内容を踏まえ、2020年度は商用車メーカーなどと協働して具体的な取り組みを行い、「物流MaaS」の実現と課題解決を推進するという。







物流MaaS勉強会には有識者や商用車メーカー、物流事業者、ITソリューション事業者などの民間事業者が参加し、物流が抱える課題や目指す将来像、その実現のための取り組み方などを検討した。この記事では、経産省が公表した取りまとめの内容を紐解いていこう。

▼物流MaaS勉強会 取りまとめ(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200420005/20200420005.html

■取りまとめ内容の全体像

取りまとめ資料は全体的に3つの内容で構成されている。1つ目が「物流業会を取り巻く現状と課題」、2つ目が「物流MaaSの実現像」、3つ目が「商用車業界としての取り組みの方向性」だ。

物流業界を取り巻く現状と課題

物流業界では4つの課題を抱えている。1つ目が「環境規制強化への対応」だ。貨物自動車の燃費は改善している一方で積載量は低下し、輸配送効率は下がっている。さらに運輸部門の4割弱あるCO2排出量も問題だ。輸配送効率を上げ、CO2排出を抑える必要がある。

2つ目の課題は「慢性的な需要過多と人手不足」。国内での全体的な輸配送量自体は変わらないが、小口数は増えている。一方でドライバー数は減少している。1人のドライバーがより多くの荷物を運搬できるシステムと、ドライバーが働きやすい環境づくりは必須だ。

3つ目は「物流のICT化とデジタル化」。大手運送業者や大手荷主ではICT化により個別最適化が進んでいる。中小事業者でも運行管理システムの導入が進展しているものの、費用面がネックで運行管理システム間のデータ連携は進んでいない。

4つ目は「商用分野でのCASE対応」だ。CASEの活用は商用車分野で先行するとされているが、メーカーが研究開発にかけられる財源には限りがある。1社だけでなく海外勢も含めた複数社での協働が不可欠だ。

物流MaaSの実現像

「最適物流」を目指すには、幹線輸送時や倉庫などの結節点、小売店や消費者などへの支線配送時それぞれでの最適化が求められる。具体的には以下の資料を参考にしてほしい。(画像をクリックすると拡大されます)

出典:経済産業省
商用車業界としての取組の方向性

取りまとめ資料では、物流MaaSの実現に向けて具体的に求められる3つの取り組みについても触れられている。

1つ目はトラックデータ連携の仕組みの確立で、複数のメーカーのトラック車両からデータを取得して運行管理できるように、日本版FMS標準(メーカー共通のトラックデータの標準仕様)などを活用していくというものだ。

2つ目は見える化・混載による輸配送効率化で、トラックの位置情報や荷台の空きスペース情報を可視化し、混載を推進して積載率を上げることが求められる。

3つ目は支線配送での電動商用車活用を見据えて電動車の特性を踏まえたオペレーションやエネルギーマネージメントを検証し、最適化を図ることが必要だとされている。

■【まとめ】物流MaaSの取り組みにも注目

経産省はプレスリリースで「『物流』は経済活動の血脈」とし、物流領域におけるイノベーションがすべての産業の生産性の向上に寄与するものだと説明している。

MaaSは個人の移動にスポットがあたりがちだが、物流MaaSの取り組みの進捗具合も注目しておきたい重要なトピックスだ。

▼物流MaaS勉強会 取りまとめ(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200420005/20200420005.html

【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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