LiDAR業界、プレス発表の嵐 「自動運転の目」で主導権を握るのは?

Luminarの買収、Ceptonは本社移転、AEyeは雨天下試験



最近、「自動運転の目」と言われるLiDARの業界の動きが激しさを増してきた。上場に関するトピックスだけではなく、事業拡大に向けた買収、開発拠点の拡大、性能試験の強化など、話題に事欠かない状況だ。

2021年7月もLiDAR業界に関するさまざまなニュースが報じられ、月後半にもLuminar TechnologiesやCepton Technologies、AEyeから新たな発表があった。業界の動きを漏らさず把握するため、この3社の発表をそれぞれ紹介していこう。







ちなみにLiDARは、車両と周囲の物体との距離を測定するためなどに使用される。対象物にレーザー光を照射し、その反射光をセンサーで捉え、対象物までの距離を測定する仕組みだ。市場拡大が確実な有望市場であり、現在、企業間での開発競争が激化している。

■Luminar、光検出器チップ開発のOptoGrationを買収

2020年に上場を果たしたことでも記憶に新しい米Luminar Techinologies(ルミナ―・テクノロジーズ)は2021年7月19日、InGaAs光検出器チップ開発で知られる米OptoGration(オプトグレーション)の買収を発表した。買収は2021年第3四半期に完了する予定だという。買収額は明かされていない。

【参考】「InGaAs」は「インジウム・ガリウム・ヒ素」を指し、シリコンよりも電子移動度が高く、高周波デバイスなどとして使用される。

高性能な光検出器の開発・製造を中心に成長してきたオプトグレーションは、米マサチューセッツ州に製造施設を置き、年間およそ100万個のInGaAsチップの生産を可能とする。ルミナーとオプトグレーションは過去5年間に渡り、1,550ナノメートルのLiDAR開発においてすでに協力関係にあり、ルミナーは今回の買収により「サプライチェーンがさらに強化される」と期待を高めている。

さらに、ルミナーが2017年に買収したBlack Forest Engineering(BFE)のシリコン集積回路と、オプトグレーションの光検出器チップという両者の最新技術を組み合わせ、新たなLiDARレシーバーと処理チップの製造を目指すことも発表している。

▼Luminar Acquiring Exclusive Lidar Chip Partner and Specialized Fab
https://www.luminartech.com/optogration/

【参考】関連記事としては「Luminarの年表!自動運転の目「LiDAR」を開発」も参照。

■設立5周年のCepton、広大な新オフィスへ本社移転
出典:Cepton Technologiesプレスリリース

自動運転向けのLiDAR開発などに力を入れてきた米Cepton Technologies(セプトン・テクノロジーズ)は、設立5周年となる2021年7月、さらなる事業拡大を見越し、これまでの2倍以上もの敷地面積(約8,500平方メートル)を誇るビルへ本社移転することを発表した。シリコンバレーの旧オフィスからほど近い、米カリフォルニア州サンノゼに拠点を移す。

2016年設立のセプトンは、特許取得済みのMMT(低摩擦マイクロモーションテクノロジー)ベースのLiDARテクノロジーで知られる。

セプトンの共同設立者でCTO(最高技術責任者)のMark McCord氏は、広大な新本社への移転により「より専門的な技術者を招くことができる」と話し、「LiDARを全ての車両とスマートシステムに不可欠なものにするという私たちのビジョン実現へさらに前進したい」と今後の展望を語っている。

ちなみに現時点では設立当初と比較すると、従業員は65%も増加しているという。

▼Cepton Marks Rapid Growth With New Corporate Headquarters
https://www.businesswire.com/news/home/20210721005296/en/

【参考】関連記事としては「LiDAR有望企業Cepton、日本事業拡大 小糸製作所の出資先企業」も参照。

■AEye、フロントガラス越しのLiDARパフォーマンスを試験
出典:AEyeプレスリリース

2021年2月に上場を果たした米AEye(エーアイ)は、悪天候を想定した条件下でLiDARのパフォーマンス試験を行い、良好なテスト結果を得たことを2021年7月12日に報告した。

実験は2021年6月、雨天下での自動走行を想定し人工雨の中で行われた。フロントガラスの後ろに設置されたLiDARが、どの程度の距離から障害物を検知できるかというパフォーマンスを測るものだ。

雨の中、センサーが飛散せず物体を検知できるかどうかが実験の焦点だったが、結果、LiDARは1,000メートルも先の物体まで認識することができた。さらに、大雨に加え暗闇のトンネルという悪条件も想定し別の実験を行ったところ、センサーは110メートルほど先にいる黒い犬やレンガなどの物体を認識することができたという。

これは人間の目でも識別が難しいといい、エーアイは「過酷な走行条件でも安全に走行できる」と期待以上の結果に自信を見せた。

▼AEye Establishes New Benchmark for LiDAR Performance with 1000 Meter Range in Rain, Behind Windshield Glass – AEye.ai
https://www.aeye.ai/press/aeye-establishes-new-benchmark-for-lidar-performance-with-1000-meter-range-in-rain-behind-windshield-glass/

【参考】関連記事としては「LiDAR開発企業の米AEyeがSPAC上場へ 「自動運転の目」を開発」も参照。

■デンソーやBoschなどの強敵を倒すことはできるのか

自動運転業界ではこの記事で紹介したようなスタートアップが脚光を浴びがちだが、デンソーやBoschなどの大手自動車部品メーカーもLiDAR開発に取り組んでおり、言うまでもなく、スタートアップにとっては強敵だ。

そんな強敵に勝つためには、彼ら以上のスピード感で事業をスケールし、技術力も高めていく必要がある。この記事で紹介した以外にも、Velodyne Lidar、Innoviz Technologies、Ousterなどのベンチャーもあり、どの企業が勝ち抜いていくのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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