レクサスと自動運転(2023年最新版)

Lexus Safety System +とLexus Teammateに注目



出典:トヨタプレスリリース

トヨタは高級車ブランド「レクサス」において高度な運転支援機能を展開している。「Lexus Safety System +」には、プリクラッシュセーフティや緊急時操舵支援といったさまざまな機能が含まれ、将来的にレクサスに自動運転機能を搭載することを如実に感じさせる。

「Lexus Safety System+」のほか、「Lexus Teammate」もレクサスの高度運転支援機能(ADAS)だ。この記事ではこの2つの機能に焦点を当て、2023年時点のレクサスの先進技術を紹介していく。


<記事の更新情報>
・2023年8月17日:Lexus Teammateについての情報を追記
・2021年10月11日:記事初稿を公開

■Lexus Safety System +の各機能
出典:レクサス公式サイト

まずはLexus Safety System +の各機能から紹介していこう。

プリクラッシュセーフティ(PCS)

「プリクラッシュセーフティ」(PCS)は交差点での出合い頭による衝突の回避を支援してくれる。交差点で交差する車両や、右折時に前方から来る対向直進車、右左折時に前方から接近する横断歩行者や自転車運転者との衝突回避をサポートする。

また、オートバイや車線逸脱してきた対向車、夜間の自転車運転者などにも支援対象を拡大しており、システムが衝突する可能性が高いと判断した際は、警報やブレーキを作動させてドライバーに注意を促す。


フロントクロストラフィックアラート(FCTA)

「フロントクロストラフィックアラート」(FCTA)は、低速で交差点に進入する際に左右から接近する車両を検知すると、カラーヘッドアップディスプレイで接近車両の方向をアニメーションで表示し、ドライバーに注意喚起を行う。車両が接近しているにもかかわらず、ドライバーが発進しようとしているとシステムが判断した場合は表示やブザーで減速を促す。

緊急時操舵支援

ドライバーの操舵をきっかけに車線内でアシストする緊急時操舵支援に加え、衝突の危険性が高いと判断した際に衝突被害軽減ブレーキと操舵制御を行うアクティブ操舵支援を行う。

レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)

「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」では、追い越しシーンにおけるウィンカー操作に応じた予備加速時をはじめ、変更先の車線に自車のセット車速よりも遅く走行する先行車がいる場合に予備減速を行う。

また、前方のカーブを検知する性能も向上し、カーブの大きさに合わせてより早く減速することで、ドライバーの感覚に寄り添ったカーブ速度抑制機能へ進化を遂げている。


レーンディパーチャーアラート(LDA)

「レーンディパーチャーアラート」(LDA)に関しては、電柱や縁石、ガードレール、パイロン、連続ポールなどの構造物までシステムの支援対象を拡大できるよう性能が向上している。また、構造物に対する作動車速を低車速域まで拡大することで、一般道で発生しやすい事故の被害軽減も図る。

レーントレーシングアシスト(LTA)

「レーントレーシングアシスト」(LTA)は車線認識性能の向上により、よりスムーズで途切れにくい操舵支援を実現している。隣接車線の走行車両の追い抜きや路外の構造物との距離が近いシーンなどにおいて、走路中央よりも回避側にトレース位置をオフセットし、ドライバーと協調した制御を行う。

ドライバー異常時対応システム

レーントレーシングアシスト制御中にドライバーの無操作状態が継続した場合、音と表示と緩減速でドライバーに操作を促すほか、ハザードやホーンなどで車外に異常を知らせながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援する。停車後は、ドア解錠や「ヘルプネット」による救命要請も行う。

異常検知は、ステアリングに踏査されたモニタリングカメラがドライバーの姿勢が崩れるなど体調の急変を検知した場合に作動する。また、ドライバーの顔の向きや眼の閉眼状態、視線などを検知し、居眠り防止に向け警告音や表示で注意喚起を行う機能も備えている。

レーンチェンジアシスト(LCA)

高速道路や自動車専用道路などで、「レーントレーシングアシスト」の作動中にドライバーがウィンカー操作を行うと、レーンチェンジのための操舵や車線変更先車両監視の支援を行う。

ロードサインアシスト(RSA)

「最高速度」や「はみ出し通行禁止」、「車両進入禁止」、「一時停止」に加え、「転回禁止」の標識表示や「赤信号」の告知にも対応している。

プロアクティブドライビングアシスト(PDA)

「歩行者の横断」や「飛び出し」など、運転の状況に応じたリスクの先読みを行うことで、危険に近づきすぎないよう運転操作をサポートする。さらに、先行車や前方のカーブに対して減速操作をサポートし、頻繁な踏みかえ操作を軽減することで、一般道などのシーンでドライバーの運転に寄り添ったサポートも行う。

■Lexus Teammateの各機能
出典:レクサス公式サイト

Lexus Teammateはレクサスの公式サイトにおいて「人とクルマが仲間のように共に走る高度運転支援技術」と説明されている。

Lexus Teammateの主な機能としては「Advanced Drive」と「Advanced Drive(渋滞時支援)」、「Advanced Park」、「Advanced Park(リモート機能付)」の4つがある。それぞれについて説明していこう。

Advanced Drive

「Advanced Drive」は高速道と自動車専用道において本線から分岐まで運転を支援する機能だ。

ドライバーが監視しているという条件があるが、あらかじめナビで目的地を設定しておくことで、システムが認知・判断・操作をサポートし、車線の維持や変更、車間維持、追い越しなどを行ってくれる。作動自車速度は時速0~125キロとされている。

Advanced Drive(渋滞時支援)

「Advanced Drive(渋滞時支援)」は、一部の高速道路・自動車専用道路の渋滞時において、一定の条件を満たしていると、システムが認知・判断・操作を支援するという機能だ。

ここでいう「渋滞」の時速は0〜40kmと設定されており、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)とレーントレーシングアシストを作動させて運転しているときに作動する。

Advanced Park

「Advanced Park」は、いたって簡単なスイッチ操作を行うだけで、駐車におけるステアリング・シフト・アクセル・ブレーキの操作を制御してくれる機能だ。

駐車したいスペースの隣に車両を配置したら、ディスプレイ画面に表示された開始スイッチを押すことで、スムーズな駐車を行うことが可能となっている。

Advanced Park(リモート機能付)

「Advanced Park(リモート機能付)」では、専用のスマートフォンアプリ「Remote Park」を使う。車外からこのアプリを操作し、遠隔で駐車・出庫を可能としている。並列・縦列での駐車と出庫がそれぞれ可能だ。

出典:トヨタプレスリリース
■【まとめ】最新技術はレクサスブランドで始まる

レクサスのADASはまだ「自動運転」とは呼べないが、こうした進歩の先に「自動運転」が存在する。レベル3の実用化を急いでいない印象を受けるトヨタも、徐々に運転支援技術は向上しており、レベル3実装もそう遠くない将来実現すると予想される。

■関連FAQ
    レクサスは自動運転が可能?

    2022年5月時点では自動運転はできない。レクサスの高度運転支援機能はADASにとどまる。

    レクサスの自動運転レベルは?

    最新車種の自動運転レベルは「2」となる。運転の主体は人間であり、常にドライバーは運転や周囲の状況に注意を払う必要がある。関連記事としては「自動運転レベルとは?」を参照。

    レクサスの主な運転支援機能は?

    「LEXUS Safety System」と「Lexus Teammate」が挙げられる。LEXUS Safety Systemには「プリクラッシュセーフティ」や「レーントレーシングアシスト」といった機能が含まれ、Lexus Teammateには「Advanced Drive」や「Advanced Park」が含まれる。

    トヨタは自動運転車を開発していない?

    開発している。自動運転シャトルe-Paletteだ。東京五輪の選手村に導入され、選手の移動を担った。

    オーナーカーの自動運転車は開発していない?

    2023年時点では、開発計画は明らかにされていない。一方、ホンダはすでに自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の車両を発売している。今後のトヨタの出方に注目が集まる。

(初稿公開日:2021年10月11日/最終更新日:2023年8月17日)

【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転戦略とは?「e-Pallete」が戦略の軸」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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