日本国内で自動運転と言えば、去年までは「トヨタ」と「日産」が双璧だった。トヨタは自動運転EV「e-Palette」を開発、日産は自動運転タクシーの取り組みを進めてきた。しかしここに来て、ホンダが攻勢を強め、一気に存在感を高めている。
2021年3月にホンダは日本で初めて、自動運転レベル3の型式認定を受けた「トラフィックジャムパイロット」の搭載車両として、新型LEGENDの発売を開始した。そして4月には、自動運転分野における中国の有力スタートアップであるAutoXとも提携した。
2021年以降、ホンダは自動運転領域で頭一歩抜きんでるのか、注目だ。そしてホンダとAutoXの提携で一体今後何が起きるのか。
■ホンダの車両が中国で自動運転タクシーに!?
ホンダの中国法人は2021年4月、AutoXと提携したことを発表し、ホンダの「アコード」と「インスパイア」にAutoXの「ジェネレーション5自動運転システム」を搭載した自動運転フリートをリリースすることを明らかにした。
AutoXは2016年に自動運転AIプラットフォームを開発しているスタートアップで、米シリコンバレーで創業し、2018年には本社を深圳に開設している。
AutoXへの注目度は、戦略パートナーの企業群をみれば明らかだ。中国の上海汽車(SAIC Motor)や東風汽車(Dongfeng Motor)、アリババのほか、米半導体大手のNVIDIA、台湾半導体大手のMediaTekなどもAutoXのパートナーだ。
そんなAutoXの「ジェネレーション5自動運転システム」がどのような内容かは明らかにされていないが、AutoXはセーフティドライバーを車内に同乗させない「自動運転レベル4」の開発に注力してきたことを考えると、アコードなどが完全無人の自動運転が可能になることも考えられる。
さらに深読みするなら、AutoXは2021年1月から中国初で初めて完全無人の自動運転タクシーを一般向けに提供しており、いずれはAutoXのシステムを搭載したホンダのアコードなどが中国で自動運転タクシーとして活躍することも考えられそうだ。
■完成車メーカー×システム開発企業の動向に注目
レベル3搭載車を発売したホンダと、世界から注目を集めるAutoXがタッグを組んだことは、自動運転業界にとっては大きなニュースだ。そして今後こうした完成車メーカーとシステム開発企業の提携は間違いなく加速するはずで、他社の動向も気になるところだ。
【参考】関連記事としては「中国第1号はAutoX!?完全無人の商用自動運転タクシーの運行開始」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)