市場調査レポートプロバイダーのReport Oceanが発行した「空飛ぶ自動車の市場規模 – 業界動向・予測レポート 2035年」によると、2021年から2035年の空飛ぶクルマ市場のCAGR(年平均成長率)は47.23%となる見込みのようだ。
■市場拡大要因は?主導する国は?
Report Ocean社によると、都市人口の増加や可処分所得の増加、輸送目的での空飛ぶクルマの需要増大によって、空飛ぶクルマの市場が大きく拡大するという。また、空飛ぶクルマ市場は中国・アメリカ・日本・インドを中心に、世界中で拡大していくと予測されている。
現在の地上輸送は道路の制約を受ける上、都市部になればなるほど渋滞になりやすい欠点がある。こうしたことから、先ほどの国々では特に輸送目的での空飛ぶクルマの導入に向け、国レベルで議論が行われている。
ただし、空中輸送はコストが高めであるほか、地上輸送よりも「小回り」が利かないことはデメリットだ。当面は発着場所が限られるからだ。そこで現在、「陸」と「空」の両方で利用可能な空飛ぶクルマに注目が集まっている。
■「2040年には140兆円規模」との市場調査も
空飛ぶクルマに関する市場レポートは、これまでにも複数発表されている。
独自動車メーカーのポルシェが100%出資しているポルシェコンサルティングの調査では、2035年には空飛ぶクルマの市場規模が320億ドル(約3.5兆円)に到達すると推定。また、TAM(実現可能な最大の市場規模)は2,300億ドル(約25兆円)と試算している。
アメリカの世界的な金融機関であるモルガン・スタンレーは、2040年にはTAMが1兆2,640億ドル(約140兆円)に到達すると予測している。
一方、米航空宇宙局(NASA)と世界的なコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの合同調査では、2030年には空飛ぶクルマにおけるラストワンマイル輸送の市場規模が21億ドル(約2,300億円)になると推定しているが、一部の都市地域を除き2030年にエアタクシーは実現しないと考えているようだ。
■【まとめ】今後の市場競争に注目
市場拡大が確実視されている空飛ぶクルマ。この領域で主導権を握ろうと、企業による空飛ぶクルマの開発も各国で加速している。日本にもSkyDriveなどのベンチャーを含め開発企業は少ない。今後の市場競争に注目だ。
【参考】関連機時としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。