右肩上がりの成長を続けるカーシェア市場。各社が全国展開に力を入れる中、日産自動車やトヨタ自動車が相次いで参入し、競争が過熱し始めた。
現在は競争前夜といったところで、今後、目まぐるしくサービス内容が変わる可能性もある。そこで今回は、現時点におけるカーシェア各社の料金形態やステーション設置状況などを調査してみた。
記事の目次
■タイムズカープラス:15分206円~(1分換算:約14円〜)
パーク24系列のタイムズ24が運営する国内最大のカーシェアサービス。2018年6月時点における車両数は2万1500台、ステーション数1万600カ所にのぼり、全都道府県を網羅している。2019年5月に名称を「タイムズカーシェア」に変更する。
初期費用として、カード発行手数料1550円が必要。プランは個人プラン、家族プラン、学生プラン、法人プランがあり、個人・家族プランは月額基本料1030円かかるが、サービス料として同額分各月の利用料に充当されるため、月に1時間あまり利用すれば実質無料となる。
車両の利用料金は各プラン共通で、デミオなどのベーシック車が15分206円、Audiなどのプレミアム車が同412円となっている。パック料金はベーシック・プレミアム共通で、6時間4020円、24時間8230円、レイトナイトパック2060円など。12時間パック以上は、距離料金として別途1キロあたり16円が加算される。
事故時のノンオペレーションチャージ(NOC)などが免除されるTCP安心補償サービスは、1回の利用あたり309円。
このほか、東京都で1人乗りのパーソナルモビリティを活用したワンウェイサービスの実証実験も定期的に行っている(15分206円)。
【参考】タイムズカープラスについては「タイムズのカーシェアサービスまとめ MaaS事業としても注目」も参照。
タイムズのカーシェア、リーディングランナーの足跡を辿る 次世代自動車業界の有力コンテンツに https://t.co/5w92W2U7Au @jidountenlab #カーシェア #自動車 #MaaS
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■オリックスカーシェア:15分200円~(1分換算:約13円〜)
自動車リース、レンタカーでおなじみのオリックス自動車株式会社が2002年から手掛けている国内では老舗のカーシェアサービス。ステーションは2018年3月時点で24都府県に約1600カ所構えており、首都圏・中部・関西エリアを中心に拡大中のようだ。
初期費用としてICカード発行手数料1000円が必要。料金形態は個人Aプラン、個人Bプラン、学生プランがあり、Aプランは月額基本料980円かかるが、サービス料として同額分各月の利用料に充当できるため、月に1時間以上利用すれば実質無料となる。Bプランは月額無料だが、Aプランに比べ利用料金が割高になる。学生プランは月額基本料が5年間無料で、利用料はAプランと同額。
Aプランの場合、コンパクトカーからSUV、ミニバンまでさまざまな車種を選べるスタンダードクラスは15分200円で、パック料金は6時間3500円、24時間6700円、夜間パック2500円など。スタンダートよりワンランク上の車両が選べるデラックスクラスは15分300円、6時間4000円、24時間8000円など。別途、距離料金として1キロあたり16円が加算される。なお、夜間パックを除き最安料金が自動で適用される。
また、利用に応じてポイントが付き、ブロンズ、ゴールドなどのステージが用意されている。ステージに応じて、距離料金の無料サービスや各種割引料金が適用される。
【参考】オリックス自動車については「近鉄レンタリースとオリックス自動車、カーシェア事業で業務提携を発表」も参照。
近鉄レンタリースとオリックス自動車、カーシェア事業で提携 近鉄沿線に22台のカーシェア配備 https://t.co/9cpSQtdixk @jidountenlab #カーシェア #近鉄 #オリックス
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 27, 2019
■トヨタシェア:15分150円~(1分換算:10円〜)
モビリティサービスに力を入れるトヨタ自動車は、販売店やレンタリース店の店舗、試乗車を活用したカーシェアリング事業「TOYOTA SHARE」を立ち上げ、2019年内に本格展開する構えだ。
2019年4月5日時点で、東京都内34ステーションでサービスを提供しており、中野区などの一部店舗ではワンウェイ方式のサービスも行っている。
入会金や月額費用は無料で、料金はヴィッツなどのコンパクトクラスが15分150円、パック料金で6時間2850円、24時間5100円、ヴォクシーなどのミドルクラスが15分200円、パック料金はコンパクトクラスと同じだ。ワンウェイ利用の場合は1.5倍かかる。
また、6時間以上利用する場合、距離料金として1キロあたり16円が別途かかる。このほか、衝突回避支援パッケージ(Toyota Safety Sense)搭載車両を利用できる「Basic」、Basicに加えWi-Fiも搭載した「PLUS」プランも用意されており、コンパクトクラスの場合Basicが15分200円、PLUSが同250円となっている。
NOC(ノン・オペレーションチャージ)の支払いが免除されるNOC無料オプションは、24時間324円となっている。
■カレコ・カーシェアリングクラブ:10分130円~(1分換算:13円〜)
三井不動産リアルティ株式会社が運営するカーシェアサービス。コンパクトカーからメルセデスベンツやランドクルーザー、キャンピングカーなど幅広くラインナップしているのが特徴。ステーションは2018年3月時点で約1600カ所となっており、関東から関西、沖縄県など11都府県に設置されている。
個人向けプランにはベーシックプラン、月会費無料プラン、平日プランがあり、ベーシックプランは月額基本料980円かかるが、サービス料として同額分各月の利用料に充当できるため、月に1時間以上利用すれば実質無料となる。利用料金はコンパクトクラスが10分130円、パック料金は6時間3800円、24時間6800円、夜間パック2500円など。距離料金は、6時間を超える利用の場合別途1キロあたり16円が加算される。利用時は、最も安いパック料金などが自動で適用される。
なお、月会費無料プランの利用料はコンパクトクラスの場合10分160円、平日プランは平日が同80円、休日が同160円になるなど、割引・割増料金体系となる。
このほか、最短1週間・最長3か月まで借りられるウィークリー・マンスリーサービスなども用意されている。
■カリテコ:15分180円~(1分換算:12円〜)
名鉄協商株式会社が運営するカーシェアサービス。愛知県、岐阜県、三重県で338カ所のステーションを構えている。
料金プランはデラ乗りプランとチョコ乗りプランの2種類で、デラ乗りは月額基本料1030円かかるが、サービス料として同額分各月の利用料に充当できるため、月に1~2時間以上利用すれば実質無料となる。利用料金は、コンパクトクラスが15分206円で、パック料金が6時間4110円、24時間8230円、夜間2060円など。9時間以上利用する場合、距離料金が別途1キロあたり16円(軽自動車は11円)が加算される。
このほか、軽自動車を選べるミニクラス(15分180円)やBMW(同350円)なども用意されている。
■アースカー:15分80円~(1分換算:約5円〜)
ISホールディングス傘下の株式会社アース・カーが運営するカーシェアサービス。17都道府県に計146カ所のステーションを構える。
入会金・月額基本料は無料。利用料金や距離料金は各車両・地域でそれぞれ異なり、例えば茨城県つくばでデミオを借りた場合、15分180円、6時間3888円、24時間6912円で、距離料金は1キロあたり15円となっている。
月600円のオプション「ゼロplus1」を利用すると、2時間超の利用で毎回5キロまで距離料金が無料になるほか、ベネフィット・ワンが提供する、宿泊施設やスポーツ・レジャー・スクール・グルメ・チケットなど幅広いメニューを割引料金で楽しめるサービスも付く。
■NISSAN e-シェアモビ:15分200円~(1分換算:約13円〜)
日産自動車が2018年1月に開始したカーシェアサービス。現在、全国各地に続々とステーションを開設している最中だ。
プランは月額基本料1000円のベーシックプランと無料プランがあり、ベーシックプランの利用料金はコンパクトカーの場合15分200円、パック料金は6時間3500円、24時間9000円、レイトナイトパック2400円など。距離料金はかからず、シンプルな料金形態となっているほか、日産のADASプロパイロット搭載車両やEVを体験することも可能だ。
【参考】日産のカーシェアについては「日産、カーシェアで福島復興を支援 元避難指示地域に拠点続々」も参照。
日産自動車、カーシェアで福島復興を支援 元避難指示地域に3拠点目開設 予約・利用から返却・決済まで無人でOK https://t.co/DsAaQrNOXf @jidountenlab #日産 #カーシェア #福島
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 21, 2019
■【まとめ】料金・サービス競争はまもなく始まる
月額基本料は実質無料となる場合が大半で、各社とも料金形態に大きな差はないが、トヨタの15分150円が光っている印象だ。大都市圏では競争状態に突入しているが、地方ではまだまだステーション数が足らず、いかに利便性の高い場所にステーションを設置していくかが当面のカギになりそうだ。
トヨタ、日産の参入の影響も大きい。全国に拠点や試乗車、レンタカーなどを備える自動車メーカーの強みを発揮することで、一気にシェアを伸ばす可能性もある。
現在各社がステーション数の拡大を図っている最中だが、足並みがそろった後は料金やサービス面での競争が始まる。他の交通事業者とのMaaS(移動のサービス化)連携も加速する見込みで、大きく動き出した業界の構図は、近い将来大きく書き換えられることになるだろう。
【参考】関連記事としては「カーシェアリングとは? メリットやデメリットは? MaaSの一端を担うサービス」も参照。
ゼロから学び直す「カーシェア」 実はトヨタ自動車も参入済み https://t.co/EIkHBcgUTg @jidountenlab #カーシェア #MaaS #まとめ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) April 1, 2019