
「左に行け!左に行け!」。警官が叫ぶが、運転手のいないWaymo(ウェイモ)には応答する者がいない。
2025年11月30日午前3時40分、ロサンゼルスのダウンタウンで盗難車追跡後の容疑者を取り押さえていた現場に、Googleの親会社Alphabetが出資するWaymo(ウェイモ)のロボタクシーが、乗客を乗せたまま進入した。銃を向けた警官たちと地面に伏せる容疑者の数フィート(約1〜2メートル)そばを、自動運転タクシーがゆっくりと通り過ぎた。この15秒間の動画がSNSで拡散し、「自動運転は緊急時に何もできない」という現実を世界に突きつけた。
自動運転ロボタクシーが急拡大する米国では、緊急時の対応をめぐる問題が各地で相次いでいる。
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■自動運転ロボタクシーが犯罪現場に突入する事態
2025年11月30日(日)午前3時40分、ダウンタウンLAのFirst StreetとBroadwayの交差点で、LAPDが盗難車追跡後の容疑者を取り押さえていた。容疑者は地面にうつ伏せ、複数の警官が銃を向けた状態だった。
そこにWaymoのロボタクシーが進入した。交差点が完全に封鎖されていなかったため、ルーティングロジック通りを左折。容疑者の数フィートそばを乗客を乗せたまま通過した。車内には後部座席に乗客が1人いたが、運転席には誰もいない。警官が「Go to your left! Go to your left!(左に行け!)」と叫んでも応答できる者がいないのだ。
車は一瞬ウインカーを出して減速する素振りを見せたが、結局ゆっくりと前進を続け、約15秒後に現場を通り過ぎた。インフルエンサーのAlex ChoiがInstagramに投稿した動画が拡散し、世界中のメディアが報じた。LAPDは「戦術的には影響なし」と述べつつも、ドライバーレス車両に関するプロトコルの策定を進めていることを明らかにした。Waymoは「安全が最優先。こうした特殊な状況から学び続ける」と声明を出した。
警官の口頭指示に応答できないという今回の事例は、自動運転技術が「日常の交通」に対応できていても「例外的な状況」への対応がまだ追いついていないことを示している。Waymoはその後ソフトウェアアップデートで対応しているが、こうした事案が公になることで改善が加速するという側面もある
■全米で続く自動運転ロボタクシーの緊急時トラブル
2025年12月20日、サンフランシスコ(SF)で大規模停電が発生した。PG&Eの変変電所火災が原因で約13万戸が停電する中、市内に展開するWaymoの数百台が路上で立ち往生し、広範な交通障害を引き起こした。
SF市議のBilal Mahmood監督官によると、2件の火災対応中にWaymoが緊急車両の通行を妨げた。SF緊急管理局の運航管理者がWaymoに31回連絡を試み、1件は53分間保留にされたという。市議会公聴会では、警官がWaymoの運転席に乗り込んで手動で除去した事例も報告された。Waymoは後にブログでソフトウェアアップデートを発表し「信号なし交差点を4方向停止として処理するよう設計されているが、停電の規模が予想を超えていた」とコメントした。
【参考】関連記事としては「Googleの自動運転タクシーが「逆走」!まるで高齢者」も参照。
さらに2026年2月7日には、アトランタでも問題が発生した。警官2人が負傷した銃撃事件でSWATが展開する中、WaymoがCheshire Bridge Roadで警察車両を通過して現場中央で停止。警官が停止を指示した後、Waymoのロードサイドアシスタンスチームが回収した。また2026年3月1日、オースティンのBuford’s Backyard Beer Garden前で起きた銃撃事件(3人死亡・13人以上負傷)の対応中、最大5台のWaymoが緊急対応のコリドーを塞いでいたことが4月29日の市議会公聴会で判明した。さらに2026年には、ナッシュビルでも警官がWaymoを手動運転で交差点から移動させるケースが報告されている。
テスラも1カ月で5件の衝突
Waymoだけではない。Fortune誌(2026年2月)によると、オースティンではテスラのロボタクシーが約1カ月以内に5件の事故を起こした。時速17マイルで固定物に正面衝突、バスが静止中に衝突、時速4マイルで大型トラックに衝突、後退中にポールと木に接触(時速1マイル)、後退中に固定物に接触(時速2マイル)。Electrekは「人間ドライバーと比較して4倍以上の事故率」と分析した。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転機能、子供のマネキンを吹っ飛ばす」も参照。
■「規制の空白」米国に連邦安全法はない
これだけの事案が相次いでも、米国に連邦レベルの自動運転安全法は存在しない。NHTSAは個別の事案について調査権限を持ち、2025年12月にはWaymoのスクールバス追い越し問題でNHTSAが調査を開始し、Waymoも自主リコールを発表した。また2021年のStanding General Order以降、自動運転事故の報告は義務化されている。ただし「包括的な連邦安全法」という統一基準はなく、「NHTSAが個別命令で対応する」という状態が続いている。
SELF DRIVE Act of 2026(H.R. 7390)が2026年2月に正式提出され、下院エネルギー商業委員会に付託された。成立すれば初の連邦自動運転法となるが、GovTrackの成立確率推計は3%。2017年・2021年と2度成立しなかった歴史がある。一方でWaymoは25,000人以上の第一対応者に対応訓練を実施済みで、70人のリモートアシスタンスオペレーターを雇用するなど自発的な対応も進めている。「規制の空白」の中でも、業界と現場の対話が続いているのが現状だ。
【参考】関連記事としては「自動運転の「連邦法」が米国でついに動き出した。日本への影響は?」も参照。
■技術の普及速度に整備が追いつくのか
LAの事件からSFの停電まで、一連の事案が示すのは「自動運転ロボタクシーが日常の交通をこなせても、例外的な緊急状況への対応はまだ発展途上」という現実だ。Waymoは事案ごとにソフトウェアアップデートで対応しており、自主的な改善努力は続いている。実際、Waymoは約1.7億マイル以上の走行実績で人間比で負傷事故を82%削減しているという安全実績も持つ。
問題は個別の技術的課題というより、「技術の普及速度に規制・プロトコル整備が追いついていない」という構造的な話だ。こうしたトラブルが表面化することで規制の議論が加速し、業界全体のプロトコルが整備されていく。そのプロセスを経て、自動運転タクシーはより社会に根付いたものになっていく。引き続き、その動向に注目していきたい。













