テスラのロボタクシー、突然の「運賃3倍」値上げ

待ち時間短縮や需要管理が目的か



米EV(電気自動車)大手テスラが、自動運転タクシー(ロボタクシー)の運賃の改定を6カ月ぶりに行った。これまで基本料金が「1ドル」だったところが「3.25ドル」となり、3倍以上の値上げとなった。日本円にすると、158円が516円になったという具合だ。


距離ごとの料金は1マイル(約1.6キロ)当たり1ドルで据え置きであるものの、これまで5マイルの移動で6ドルだったところが8.25ドルとなり、利用者にとっては結構な負担増になる。

テスラはこれまでセーフティドライバー同乗のもとでの自動運転走行を行っていたが、2026年に入りドライバーレスの車両を少しずつ増やしているようだ。運賃の値上げは利用状況にどう影響を及ぼしていくのだろうか。

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■これまでの値上げ状況は?

テスラは2025年6月に、悲願のロボタクシーサービスをテキサス州オースティンでスタートした。開始当初の運賃は一律で4.2ドルであった。ただし運用台数は10〜20台と少なく、移動できるのも狭い範囲のみであったようだ。

最初の値上げを行ったのは2025年7月だ。サービス提供エリアの拡大にあわせ、一律6.9ドルとなった。その後すぐに基本料金1ドルに走行距離ごとの料金1マイル当たり1ドルを加算するというスタイルになった。これは、配車大手のUberやLyftのような一般的な配車サービスに近い料金体系となる。


今回の値上げでは走行距離ごとの料金は変わらないため、比較的長距離を移動する人にとってはさほど影響はないかもしれない。しかし短距離移動をしたい人や、テスラのロボタクシーを少しだけでも体験してみたいという人にとっては、利用するのを迷う原因になる可能性もありそうだ。

この3.25ドルへの価格改定について米メディアは、平均10~15分程度となっている待ち時間を短縮し、高い需要を管理することが目的だとしている。

出典:Tesla公式サイト

■ドライバーレス走行に転換途中

テスラのサービスの主流は、現在でもセーフティドライバーありでの運行となっている。そのため本当の意味での自動運転とは言えないという声も多い。2026年1月に一部ドライバーレス走行で追従車が監視する方式を始めたものの、プロモーションの意味合いが強いとの意見が多く、完全自動運転となるにはほど遠いという見方が強い。

しかしテスラの幹部は「まずは監視員を伴うロボタクシー群の中に、少数の監視員なしの車両を混在させる形での運用を開始しており、その割合は今後徐々に増やしていく予定だ」とコメントしている。


米Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)はすでにドライバーレスのロボタクシーサービスを大規模展開しているが、テスラも同様のサービスレベルに近づいていけるのだろうか。

■2035年までに売上2,500億ドル?

なお米独立系調査会社のウルフ・リサーチは、テスラのロボタクシーの売上が2035年までに2,500億ドル(約38兆円)に達する可能性があると予測している。

これは、ライドヘイリング(ライドシェア)市場における自動運転車の普及率を30%と見込み、そのうちテスラのロボタクシーのシェアが50%となることを想定して算出されたものだ。ロボタクシー1マイルあたりの料金は1ドルを想定、つまり日本円にしてキロ100円程度で計算している。

しかし今回の値上げにより、1マイルのみの利用の場合は基本料金3.25ドルに距離ごとの料金1ドルで、4.25ドルになってしまう。もし10マイル利用するなら、3.25ドルプラス10ドルで13.25ドル、つまり1マイルあたりに換算すると1.325ドルだ。

ウルフ・リサーチは、テスラの運賃値上げも予想していたのだろうか。それとも今後サービスが拡大し安定してきたなら、値下げがあるかもしれないことも織り込み済みなのだろうか。

今回の値上げは「吉」と出るのか、引き続きテスラの動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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