米ライドシェア大手Uber Technologiesは、専用設計の自動運転タクシー(ロボタクシー)を用いてサービスをスタートする。
その自動運転車両に採用されたメーカーは、米EV(電気自動車)ベンチャーのLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)だ。今後6年間でLucid車両を20,000台以上、世界中の数十の市場に展開する計画だ。
Lucidの販売台数は年間数千台レベルにとどまり、テスラや中国・韓国のEVメーカーに全く及ばない状況だ。そんな中でもUberが自社展開するロボタクシーメーカーとしてLucidを選択した理由が気になる。
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■Uber×Lucid×Nuroのタッグ
LucidとUber、そして自動運転スタートアップの米Nuroは、次世代自動運転ロボタクシープログラムで提携したことを2025年7月17日に発表した。Lucidの最新EVにNuroのレベル4自動運転システム「Nuro Driver」を搭載したロボタクシーを、Uberのグローバルネットワークと車両管理システムと組み合わせ、快適性・安全性・拡張性を兼ね備えた完全統合型ロボタクシーサービスを展開していくという内容になる。
これまでGoogle系の自動運転開発企業Waymoなどのロボタクシー運行のプラットフォーマーとして活躍していたUberだが、Uber専用のロボタクシー車両でサービスを行うのは初となる。そしてLucidにとっても、この取り組みがロボタクシー事業への初参入となった。
Lucidは同年9月24日、「私たちのロボタクシー開発車両を紹介します。LucidはNuro Driverとの統合のために、Uber専用の最初のロボタクシー開発車両をNuroに納車しました。これは新たなエキサイティングな章の始まりを示しています——続報にご期待ください」とX(旧Twitter)に投稿した。
Introducing our Robotaxi Engineering Fleet.
Lucid has delivered the first @Uber-exclusive robotaxi engineering vehicle to @nuro for integration with the Nuro Driver.
This marks the beginning of an exciting new chapter—stay tuned. pic.twitter.com/It5rWqFHS2— Lucid Motors (@LucidMotors) September 24, 2025
添えられた動画では、Lucidの施設からNuroの工場まで、車両が運ばれる様子が分かる。Amazon傘下の自動運転開発企業Zooxなどのロボタクシー専用車は「ポッド型」でハンドルやブレーキペダルがないタイプになるが、Lucidの車両は一般的なSUVのようなデザインで、ハンドルもあるように見える。
■元テスラ幹部により設立
Lucidは、元テスラ幹部のバーナード・ツェ氏により2007年に設立された。ツェ氏はテスラで副社長を務めており、2007年に「Atieva」名でバッテリー開発を手掛けるスタートアップを設立した。その後、2013年にピーター・ローリンソン氏をCTO(最高技術責任者)に迎え、EV開発に本格着手している。2016年に社名を現在のLucidに変更した。
CEO(最高経営責任者)とCTOを務めていたローリンソン氏が2025年2月に退き、戦略技術顧問に就任した。その後COO(最高執行責任者)であったMarc Winterhoff氏が暫定CEOに任命されている。
高級EV「Lucid Air」などが有名なLucidだが、販売台数は伸び悩んでいるとも言われている。しかし2025年に入り新型電動SUV「Lucid Gravity」の生産を開始し、そしてUberとの提携により米国での存在感を示しつつある段階なのかもしれない。
かつて、米国の大物投資家であるキャシー・ウッド氏は「Lucidが自動運転に参入したら株式を買う」と発言したこともあり、将来性は以前から期待されている。
▼Lucid, Nuro, and Uber Partner on Next-Generation Autonomous Robotaxi Program
https://ir.lucidmotors.com/news-releases/news-release-details/lucid-nuro-and-uber-partner-next-generation-autonomous-robotaxi
【参考】関連記事としては「キャシーウッド氏「LucidとRivianが自動運転に参入したら買うわ」」も参照。
■1年後にはLucid製が米国を走る!
Lucidの車両を採用したUberの新しいロボタクシーサービスは、2026年後半に米国の主要都市でスタートするという。すでに複数の都市でサービスを展開しているWaymoのほか、最近始動したテスラやZooxのロボタクシーに対向するような形になるLucidだが、勝算はあるのだろうか。
またサービス提供都市は競合他社とかぶるのだろうか。LucidとNuroによる最初のロボタクシーのプロトタイプは、ラスベガスにあるNuroの実証施設でクローズドコースによる自動運転走行を行っていたため、ラスベガスが最初のサービス開始エリアになるかもしれない。引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「運転支援ソフト、テスラのFSDよりLucidの方が3,000ドル安い」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)