さすがのテスラも「危険な中国の夜」はLiDAR必須か テールランプ故障車が多数

中国EV企業代表「安全性を重視するなら・・・」



「自動運転の目」と言われているLiDARセンサー。それを用いずに自動運転を実現しようとしていることで知られているテスラ。それに対し、中国の新興EV(電気自動車)メーカーであるLi Auto(理想汽車)の代表が、「夜の中国で運転するならLiDARを使うことになるだろう」と語っている。


Li Autoは自動運転技術開発に積極的で、LiDARを搭載した量産モデルを発表済みだ。テスラが中国ではLiDARが必要になる理由とは?

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■Li Auto代表がテスラにアドバイス

Li AutoのCEO(最高経営責任者)であるLi Xiang氏はAI(人工知能)関連のイベントで、「もしイーロン・マスク氏が深夜の中国のさまざまな高速道路を運転したことがあるのなら、前方にLiDARを搭載する選択をするだろうと信じています」と語った。

テスラのCEOを務めるマスク氏がLiDARを使用しないという選択をしている一方で、なぜLi AutoはLiDARを使用しているのかという質問に対して答えたものだ。Xiang氏はまた、「テスラも安全性を重視していると思うが、マスク氏は中国の運転環境を理解する必要がある」とも述べたようだ。


Xiang氏はLiDARについて、自動運転の実現にあたりLi Autoの技術が劣っているためではなく、安全性を高めるために採用していると説明した。中国の道路は米国とは異なり、夜間の運転中にテールランプが壊れた大型トラックに遭遇することもあるという。また、そういった大型トラックが主要道路にそのまま停車されている場合もあるようだ。

Xiang氏は深夜の暗い道路環境では、車体に搭載されたカメラでは高品質でも100メートル先程度までしか物体を検出できないこともあるが、LiDARは性能によっては200メートルの検出範囲を実現することを指摘。Li AutoはLiDARのこの能力を活用することで、時速130キロでの衝突被害軽減ブレーキ(AEB)機能を実現しているという。

Xiang氏は「我々の車は家族向けであり、全ての人の命の安全が最も重要だと考えている。それが、私たちがLiDARを採用し続け、今後のモデルでも使用していく根本的な理由だ」ともコメントしている。

■LiDAR嫌いで知られるマスク氏

テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

これまでマスク氏は、LiDARを否定する発言を何度も行っている。


同氏は過去に、テスラの車両がいかにカメラベースのビジョン・システムだけに頼って運転支援機能を成立させているかなどについて語り、LiDAR搭載については否定的な姿勢であった。過去には「比較的低コストの推論コンピューターと標準カメラを備えたテスラのソリューションが自動運転を実現できることは明らかだ」「LiDARもレーダーも超音波も何もなくとも自動運転を実現可能だ」といった発言をしたこともある。

LiDARを「自動運転のための松葉杖」と表現し、LiDARに依存した自動運転開発を行う企業について「破滅的」と述べたこともある。

そのテスラだが、2024年5月には米Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)から大量のLiDARを購入したことがLuminarの決算報告書により明らかになった。Luminarにとってテスラは、2024年第1四半期における最大の顧客であり、Luminarの売上高の10%を占めているという。2024年第1四半期の売上高は2,100万ドルである。その10%となると、約210万ドル相当のLiDARを購入したことになる。

LuminarのLiDARは、ソフトウェアを含め1つ約1,000ドルだ。つまり、単純計算で2,100個ほどのLiDARをテスラが購入したということになる。また、この報道とほぼ同じタイミングで、LiDARが装着されたテスラの「モデルY」の写真がX(旧Twitter)に投稿され、話題になった。

■Amazon傘下Zooxの幹部も指摘

2024年11月には、Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)の共同創業者兼CTO(最高技術責任者)であるジェシー・レビンソン氏が、テスラの自動運転技術に対するアプローチと、それがうまくいかない理由について語った。

レビンソンCTOは自社の自動運転戦略について、LiDARやレーダー、カメラなどを活用したマルチセンサーの安全設計により、完全な状況認識を行うことができると強調している。それが、カメラのみに頼っているテスラのシステム「FSD(Full Self-Driving)」よりも優位性をもたらすと考えているという。

FSDは有能ではあるものの、カメラのみに依存することでドライバーに「誤った自己満足感」を与える可能性があるとも指摘している。この水準の技術では、真のドライバーレスの自動運転走行を行うには不十分だと考えているようだ。

■中国進出に積極的に見えるマスクCEO

テスラは中国にも製造拠点を持ち、2024年に入りFSD搭載の自動運転車のテスト走行許可を取得したと報じられた。

マスク氏は2024年4月に中国を訪れ李首相と会談したのに続いて、5月にも金壮竜工業情報化相ら政府高官と会談した。EVや自動運転車などについての意見交換を行ったようだ。また中国商務省の王文濤商務相とは、米中の経済や貿易での協力などについて意見交換したという。

中国進出に積極的な動きを見せているテスラ。もし中国で自動運転車を走行させるのならば、Li AutoのCEOが指摘するように、LiDARの搭載を進めていったほうがいいのか。2025年もテスラの動きから目が離せない。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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