舛添さん炎上!自動運転で「中国びいき」?人間同乗なのに褒め過ぎたか。X民の反感買う

米国上場のPony.aiの自動運転タクシーを体験

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出典:外務省/CC 表示 4.0(https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=135799811)

国際政治学者で元東京都知事の舛添要一氏がXで自動運転関連の発言を行い、炎上している。自動運転に関する発言で炎上するのは珍しいことだ。

舛添氏は何を語ったのか。その中身を紹介していこう。

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■自動運転に関する舛添氏の発言

中国広州で自動運転タクシーを体験

舛添氏は、中国広州で12月に開かれた国際会議に出席するため同国を訪問した。その旅程において、Pony.aiが運営する自動運転タクシーを体験したようだ。

舛添氏は5日、Xに「広州で自動運転のタクシーに乗りました。普通は運転手もいませんが、今日は念のため運転手が乗りましたが、指1本触れません。中国に負けています。車は現地のトヨタ!私は東京五輪のときに自動運転開始を予定していたが、後任の小池都知事が築地移転を遅らせたため、実現せず。」とポストした。

すると、以下のような批判的なリプライが多数寄せられた。

親中国・韓国で知られる舛添氏に噛みつきたい勢力は少なくないようだ。自動運転に関する記述が炎上したというより、単純に舛添氏の余計な一言が反感を買い、自動運転がとばっちりを受けたような印象が強い。セーフティドライバーが同乗していた件に関しては、ただ単にPony.aiが舛添氏に配慮した結果かもしれない。舛添氏は要人扱いされているためだ。

中には、以下のようなトンチンカンなリプライも散見された。

遠隔操作関連の話については後述するが、どうやらこのリプライを行った人は、すべての車両が常に遠隔操作されていると信じ込んでいるようだ。

中国の技術をいまだ見下している人もいるようだ。リスクマネジメントの観点やものづくりにおける信頼性の点では何とも言えない部分が残るが、AIをはじめとした先進技術は大きく躍進し、目を見張るものがある。

自動運転EVが何人も……というのは、恐らく勘違いだ。情報統制されていても、そこまでの事案が発生すれば世界に情報が漏れだす。自動運転ではない別の車両、あるいはフェイクを信じ込んでしまったのだろうか。

炎上系のコメントに目を奪われがちだが、以下のようなリプライも見られる。

懐疑的な意見を含め、自動運転に対する関心の高さが垣間見える。

なお、舛添氏は同投稿の10時間後、「自動運転タクシー、続き。日本は中国に先を越されてしまいました。強くなって、勝負に勝たなければ、話しになりません。中国にも行かず、負け惜しみの繰り言のみを言っているような評論家やタレントが、深刻な日本の事情を糊塗し、日本再生を邪魔しています。日本は、中国よりも強くなるべきです!」とポスト。

さらに、翌6日には「76歳の私は先日免許証を更新。認知症試験、運転実習があり、私は合格し更新したが、高齢者は免許証を返納し運転を止めろという雰囲気。中国のような自動運転タクシーを早く導入すべきだ。高齢化社会には不可欠。私はまた3年後に免許証更新。それまでに実現すべきだ。出来ないなら世界の笑いものだ。」とポストした。

炎上慣れしているのか、舛添氏はハートが強いようだ。「勝負に勝たなければ話にならない」「中国よりも強くなるべき」といった主張は、国際競争力の観点から見ればその通りだ。ただ、舛添氏のイメージ・属性を考慮すると、表現を変えるべきだったのかもしれない。

高齢ドライバーの免許返納・移動手段確保に自動運転技術が貢献する日が将来訪れることは間違いない。そのためには、実用化のみならず大規模量産化・低運賃化、比較的広いエリアの網羅なども必要となる。

「自家用車代わりに自動運転タクシー」という観点では3年後はさすがに難しいと思われるが、こうしたフェーズに達すれば、多くの人が移動革命を体感できそうだ。

■Pony.aiの概要

中国内4エリアでドライバーレスサービスを展開、念願のIPOも

出典:Pony.aiプレスリリース

舛添氏が乗車した自動運転タクシーは、トヨタが出資するPony.aiのものだ。Pony.aiは2016年創業の新興自動運転開発事業者で、2024年11月に米ナスダック市場に上場を果たすなど、旬を迎えつつある話題の企業だ。

北京、広州、上海、深センの4都市でドライバーレスで公道走行するライセンスを取得しており、各都市で有料ロボットタクシーサービスを展開している。ルクセンブルクや韓国進出に向けた取り組みも進められている。フリートは250台超に達し、実証を含めた走行距離は約 4,000 万キロメートルに及ぶという。

舛添氏が乗車した広州では、2021年6月にドライバーレス車両による公道実証を開始している。すでに乗客輸送ライセンスも取得しており、広州市南沙区の803平方キロメートルのエリアでロボタクシーサービスを展開している。

開発領域でトヨタと協業

トヨタとの関係は2019年にさかのぼる。自動運転車開発を共同で進めると発表し、トヨタのレクサスRX 450hモデルにPony.aiの自動運転システム「PonyPilot」を統合し、公道実証を開始した。翌2020年には、Pony.aiの資金調達Bラウンドでトヨタが4億ドル(約440億円)を出資したことも発表されている。

2023年には、自動運転タクシーの量産化と大規模展開に向けトヨタの中国法人と広汽トヨタとともに合弁を設立すると発表した。

トヨタの中国事業を統括するトヨタ自動車(中国)投資有限公司(TMCI)と広汽トヨタ自動車(GTMC)とともに新会社を立ち上げ、レベル4開発に適したトヨタの冗長システムを搭載したBEV(バッテリーEV)をPony.aiに提供していく計画としている。

今後、中国内はもとより、世界展開をどのように推進していくのか。また、トヨタとの協業の先にどのような相乗効果が生まれるのか、要注目だ。

【参考】トヨタとの協業については「トヨタ、中国で自動運転タクシーを本格量産へ Pony.aiと合弁設立」も参照。

トヨタ、中国で自動運転タクシーを本格量産へ Pony.aiと合弁設立

■自動運転における遠隔監視・操縦

自動運転タクシー=遠隔操縦?

舛添氏へのコメントの中に、「中国の自動運転車両は遠隔操作している」旨の発言が散見された。示されたリンクをクリックすると、「リモート「運転手」がいる!市民「おバカAI」」と題されたYouTubeにたどりつく。

百度(バイドゥ)の自動運転タクシーを紹介する内容で、既存タクシーに比べ運賃が安く設定されている点やドライバーによるサービスの良し悪しといった影響を受けない点、24時間稼働可能な点などのメリットや、運転速度がやや遅く時には渋滞を引き起こす点などのデメリットが紹介されている。

問題は、3分50秒あたりから始まる部分だ。「百度の自動運転タクシー「Apollo Go」は完全にAIが操縦する自動運転車であると思われていたが、インターネットに投稿された動画を見ると人間が遠隔操作する様子が映し出されており、必要に応じて人間が遠隔操作を行う。これを見たネットユーザーは、運転席を操縦席からオフィスに移し替えただけでは……と指摘している」と解説している。

リテラシー能力に欠けた人は、これを見て「自動運転タクシー=遠隔操縦」と認識してしまうようだ。遠隔操縦することもあるだろうが、「必要に応じて」遠隔介入するという点が抜け落ちてしまっているのだ。

これは初期のレベル4相当のサービスではスタンダードなものと言える。車内無人でAIが自律走行を実現しているものの、不測の事態の発生を100%否定できるものではない。有事に備え遠隔管制センターでオペレーターが待機し、必要に応じて遠隔地から手動介入するのだ。

遠隔地から常時監視している場合は、実質「遠隔レベル2+」と言える。適宜監視し、自動運転車からの要請を受けただちに介入するものは実質「遠隔レベル3」とも言える。

この介入頻度が限りなく減少し、一人のオペレーターが何十台もの車両を担当する域に達すれば、胸を張って「真のレベル4」と言えるだろう。

自動運転システムの精度が低ければ、一人のオペレーターが一台の車両を監視しなければならないが、精度が高まるにつれ複数台の車両を担当することが可能になる。手動介入をほぼ必要としない精度に達すれば、一人が100台を担当することも可能になるだろう。

レベル4は、ODD(運行設計領域)内においては原則手動介入を必要としない水準を指すが、事故に巻き込まれることだってある。何が起こるかわからない道路交通においては、現実問題としてオペレーターは必要となる。

介入頻度がどの水準に達すれば「真のレベル4」と呼べるかは議論の余地がある。こうした観点から各社の自動運転システムの実質レベルを探るのも興味深いところだ。

■【まとめ】舛添氏の炎上が飛び火しただけ

とりあえず、Pony.aiの自動運転タクシーが炎上しているわけではなく、あくまで舛添氏が炎上しているに過ぎないことがわかった。舛添氏から飛び火しかけたが、ボヤで済んだような印象だ。

ただ、こうした件から自動運転に対する社会受容性は影響を受ける。プラスに働くこともあればマイナスに働くこともあるのだ。今回のように明らかに理解不足なコメントが寄せられると、それを目にした第三者の印象は悪くなる。

情報発信の面でメディアに匹敵する、あるいは上回る力を持ち始めたSNS。リテラシー向上が喫緊の課題と言えるだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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