トヨタWoven Cityは「空中歩道」完備か e-Palette集う「中央広場」も

フェーズ1の街並み!2025年始動に向け準備着々



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

トヨタが静岡県裾野市で建設中のWoven City(ウーブン・シティ)に、空中回廊や中央広場が現れた。第一期工事も終わりが近づいてきた様子で、これまでイメージ画像に過ぎなかった街並みが現実のものとして姿を現し始めたようだ。

フェーズ1のオープンが迫るWoven Cityの現在地とともに、その概要についておさらいしていこう。


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■Woven Cityの現在地

Facebookで最新情報公開

Woven Cityは2024年9月25日、公式Facebookに最新の建設現場の写真をアップした。Woven Cityの中心となる広場を見下ろすアングルで、半年前の2024年3月の写真と合わせて掲載しており、工事の進捗状況がはっきりとわかる。

3月の画像はクレーンがあちこちに立ち並んでいたが、最新画像は建物の外観がほぼ整い、各階のバルコニー・テラス部分にはすでに芝生のような緑地もみられる。2階の高さには、建物同士を結ぶ空中歩道が設けられた様子もはっきりとわかる。

中央広場の造成も始まっており、今後芝生が張られるものと思われる円形スペースの造成も進められているようだ。


2022年に公開されたプロモーション用の画像には、広場を囲むように4~6階建てほどの建物が並び、各建物が空中歩道で結ばれている様子が収められている。広場には円形の芝生スペースが設けられ、周囲にはe-Paletteらしきモビリティも複数台見受けられる。

住民が集う憩いの空間で、おそらくe-Paletteは小売りなどさまざまなサービスを提供しているのだろう。裾野市の建設現場では、こうした世界が忠実に再現されているのだ。

同エリアは最初に実証を開始するフェーズ1エリアで、予定では2024年中に建物工事を完了し、2025年から一部実証を開始することとしている。

【参考】Woven Cityのプロモーション用のイメージ画像については「トヨタWoven City、住宅は4〜6階の「低〜中層」中心か」も参照。


トヨタWoven City、住宅は4〜6階の「低〜中層」中心か

■Woven Cityの概要

「モビリティの拡張」を目指すテストコース

Woven Cityは、トヨタ自動車東日本東富士工場の跡地約70.8万平米を活用した実証都市で、「モビリティの拡張」を目指すテストコースに位置付けられている。モビリティカンパニーへの変革を目指すトヨタが、モビリティを通じて「幸せの量産/Well-being for All」を実現するための一大実験都市だ。


東富士工場が長年培ってきたモノづくりの歴史と想いを受け継ぎ、次の50年の未来のモビリティの実現に貢献する場として、「ヒトの生活を組み込んだ壮大な実証実験場」に変革する構想に至ったという。

「Woven」は「織り込む」という意味で、トヨタの原点である自動織機を意識して名付けられた。歩行者専用の道、歩行者とパーソナルモビリティが共存する道、自動運転モビリティ専用の道の三つを編み込んだような都市空間を形成し、クルマ・人・道を三位一体として捉えた実証を行う。

モビリティカンパニーとしてのテストコースに位置付けられており、さまざまなモビリティの開発と実証をバーチャルとリアルの世界を交えながら高サイクルでスピーディに行う。未来の当り前を発明するためのテストコースだ。

トヨタとさまざまなパートナー企業・発明家が自動運転やMaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI技術などの実証を行う計画で、物流やエネルギー、食などさまざまな分野のテクノロジーを検証し、社会課題の解決に向けた発明をタイムリーに生み出していく環境を作り上げるとしている。

フェーズ1は東京ドーム1個分ほどの規模

Woven Cityは「ヒト中心のまち」「実証実験のまち」「未完成のまち」をコンセプトに据えている。ヒトそれぞれに異なる幸せを生み出せるよう常に改善を続けるため、永遠に未完成なのだ。

現在工事が進められているのはフェーズ1で、70.8万平米のうち約5万平米が割り当てられている。おおよそ東京ドーム1個分(建築面積約4万6,800平米)の空間を第一期として開発しているのだ。

2025年の実証開始後も引き続き造成・拡張などを進めていく計画で、フェーズ2以降の計画については公開されていない。

フェーズ1の住人は360人

Woven Cityの住人は、ともに社会課題の解決を目指す発明家をはじめ、高齢者や子育て世代などを想定している。トヨタやトヨタ関係者から段階的に入居し、フェーズ1では最終的には約360人が住人となる。フェーズ1以降も含め、最終的には2,000人規模を想定している。

2024年9月時点で入居者の募集はまだ行われていないが、居住に関する情報は決定次第公表するとしている。

【参考】Woven Cityへの入居については「Woven City、ついに入居開始へ!トヨタ関係者から段階的に」も参照。

Woven City、ついに入居開始へ!トヨタ関係者から段階的に

自動運転のユースケースを拡大しながら開発を促進

実証関連では、物理的な移動(Move)に留まらず、ヒト・モノ・情報・エネルギーといったあらゆるモビリティに関する実証を進め、人々の心までも動かしていくこと(Move)を目指すとしている。

その一つとして、さまざまなインベンターが自動運転サービスを作り出せるプラットフォームの形成を掲げる。

自動運転を通じてヒトとモノの可動性を高め、個人・企業・コミュニティができることを増やすため、自動運転機能をさまざまなインベンターに活用・試用してもらうことでユースケースの拡大を図っていく。

例としては、トヨタの自動運転システムを搭載したe-Paletteによる自動運転バスサービス(バス事業者)や、自動移動販売サービス(小売り業者)が挙げられている。

トヨタとしては、三位一体(人・クルマ・交通環境)の交通安全をまちに実装し効果を検証するほか、デジタルツインでさまざまな交通環境を再現し、自動運転の効率的な開発を進めていく。

そして、世の中に本当に求められる自動運転を使ったサービスの創出をインベンターとともに進めていく方針だ。

モノの移動は人の手を離れ完全に自動化?

物流関連では、人々のモノの授受にまつわる義務的移動をなくし、各個人が使える時間とエネルギーを生み出すとともに、モノの移動を自由にすることで社会の発展を促す。

具体的には、スマートフォンアプリやロボットが連携し、まちの中のモノの移動を支えるサービスを提供する。住民が時間や場所に縛られることなく、ストレスなくモノを授受可能にするため必要なことを実証を通じて明らかにする。

また、単にモノを運ぶだけでなく、例えばクリーニングやストレージサービスなど付加価値の高いサービスを統合し、新しい価値を提供するプロダクトとして仕上げていく。

なお、物流専用の通路を地下に設ける計画も進められている。地下専用道を自動運転配送ロボットなどが走行し、各家庭のスマートロッカーなどを介して荷物の集配を行う計画だ。

遠隔コミュニケーションプロダクトも

次世代遠隔コミュニケーションプロダクトも進めていく。物理的な距離が離れていても、互いに存在感を感じることができる体験を創出し、心がつながるようなコミュニケーションを実現する。

ウーブン・バイ・トヨタが開発を進める次世代映像伝達技術をまずは教育分野において活用することを検討している。既存の遠隔コミュニケーションで伝えられなかった思考プロセスなどを伝達することで、付加価値を付けていくプロダクトの実証を行う計画という。

実証パートナーにENEOSら3社が名乗り

Woven Cityにおける実証パートナーには、ENEOS、リンナイ、日清食品が手を挙げているようだ。

ENEOSは、CO2フリー水素の製造と利用推進に向けトヨタと共同開発契約を締結した。水素ステーションの建設や運営、水素ステーションでのCO2フリー水素の製造、水素ステーションからWoven Cityや燃料電池車への水素供給に着手するとともに、水素の需給管理システムについても具体的な検討を進めることに合意した。Woven City開所前に水素ステーションの運営を開始する予定だ。

リンナイは、ウーブン・バイ・トヨタとともに新たな水素の用途として水素を燃焼させて行う調理(水素調理)について共同開発を開始している。Woven Cityなどで実証を行い、水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と水素による新たな食体験の提供を目指す方針だ。

日清食品は、Woven Cityにおける食を通じたWell-Beingの実現に向けた実証について、トヨタと具体的な検討を進めることで基本合意している。完全栄養食メニューの提供を通じた住民の食の選択肢拡充と健康増進の共同実証や、一人ひとりに最適化した完全栄養食メニューの提供に向けたデータ連携などを想定しているようだ。

インベンターの発明を強力にバックアップ

インベンターに対しては、開発と実証実験を行う「Woven Test Course」と、トヨタのハード・ソフトのものづくりの知見を結集した「Woven Inventor Garage」で活動や発明をサポートしていく。

Woven Test Courseは、人がリアルに生活する中で実証を行う場所を指す。道・広場・店舗・オフィス・住居など、あらゆる場所が実証の舞台となり、発明をする人や住む人、訪れる人など全員が「未来の当たり前」を生み出していくために活動する。

「テストコース」と耳にすれば道路、道を想像するが、Woven Cityではまち全体がテストコースとなり、住人も来訪者も町に関わる人すべてが協力者となるのだ。

Woven Inventor Garageでは、トヨタがクルマ作りを通じて蓄積してきたものづくりの知見を最大限活用し、これまでに培ってきたハードウェア・ソフトウェア技術を活用した開発支援や、さまざまなデータとフィードバックに基づいた実証支援など、「自分以外の誰かのために」というインベンターの想いを実現させるさまざまなサポートをしていくという。

【参考】インベンターの募集については「トヨタWoven City、「発明家」を募集!自ら考えたテーマを実証可能」も参照。

■【まとめ】未完のまちがまもなく始動

フェーズ1の工事は終わりに近づいてきたようで、そろそろ実証開始に向けた住民募集や各種プレスリリースなども本格化していくものと思われる。「未完のまち」として終わりのない開発と研究がついにスタートするのだ。

Woven Cityからどのようなイノベーションが誕生するか、今後どのような実証パートナーやインベンターが参加するのか、要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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