Googleの自動運転車、深夜に「集団クラクション」エラー!住民が不眠症に

駐車場で同時に鳴らし合い、騒音問題に発展



出典:X / @briandstone__ Post(https://x.com/briandstone__/status/1822082821734752585)

自動運転車が互いにクラクションを鳴らし合って、付近の住民が眠れないというトラブルが米カリフォルニア州サンフランシスコで起きた。

この自動運転車は、Google系の自動運転開発企業である米Waymoの車両だ。同社はサンフランシスコでドライバーレスの自動運転タクシーを商用運行している。どうしてこのような事態になったのだろうか。


■駐車場で夜通しクラクションを鳴らす

サンフランシスコのサウス・オブ・マーケットというエリアにある駐車場で、Waymoの自動運転車が夜通しクラクションを鳴らし合い、近隣住民が困惑しているといったトラブルが2024年8月に起きた。

新たに駐車しようとしている車両に加えすでに駐車している車両も互いに反応し、クラクションを鳴らし続けているといった状態のようだ。合計の車両数は数十台にもおよぶ。その全てが同時にクラクションを鳴らしているわけではないが、10台ほどが同時にクラクションを鳴らし合っているため、かなりの騒音となった。しかし、運転手不在の自動運転車のためすぐに対処できなく、夜通し続く騒音で近くに住む人たちは睡眠不足に陥っているという。中には不眠症になったと訴えている人もいるようだ。

米メディアの報道によると、この騒音は数週間前にWaymoがその駐車場を使い始めたことにより起こったという。当初、近隣住民の中にはこのエリアの治安が向上することを期待し、Waymoの利用を歓迎する人もいた。実際、最初は車両数が少なくクラクションもそれほど気にはならなかったようだ。


しかし多くのクルマが集まるようになり状況が悪化した。駐車場に40台ほどの自動運転車が来ると、クルマがバックすると他のクルマが一斉にクラクションを鳴らし始めるのだという。騒音は午前4時頃にピークになるようだ。ある住民は「この2週間で、ここに住んでいた20年間を合わせたよりもひどい騒音により何度も起こされた」と語っている。

■「衝突回避機能」の搭載が発端

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

この問題に対し、Waymoの広報担当者は「駐車場を走行中に車両が一時的にクラクションを鳴らす場合があるということは認識している。現在原因を特定し、修正を行っている状況にある」とコメントした。

Waymoは最近、他のクルマがバックしている最中にWaymo車に近づきすぎた場合、クラクションを鳴らして低速での衝突を回避するという機能を導入した。この機能は市街地ではうまく作動するが、駐車場でこの機能が作動する状況がこれほど頻繁に起こるとは予想していなかったという。

その後、Waymoはソフトウェアアップデートを行い、この騒音問題は解決に向かっているようだ。


■自動運転開発のトップランナーのWaymo

2018年12月に自動運転タクシーを世界で初めて商用展開し、米国のみならず世界の自動運転技術開発を率いてきたWaymo。米国で自動運転タクシーを同じく商用化したGM傘下のCruiseは、交通事故が引き金となりドライバーレスでの運行をストップしている。

ライバルのCruiseの失脚により独占状態となるかに思えたWaymoだが、ここに来て今回の騒音トラブルのほか、通学中の児童の横断を妨げたり、あおり運転のような走行をしたりといったトラブルも増えてきている。

今回のように安全性を高めるための機能を搭載したものの、それがかえって迷惑を掛けてしまうという場合もあることが分かった。ドライバーレスの自動運転車では、何かトラブルが起きてもすぐに対処できないということが大きな問題だ。

開発各社は、自動運転機能の向上のほか、安全面の確保やトラブル時の迅速な対応も求められる段階にある。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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