自動運転エンジニア社長のティアフォー、資金調達で「日本1位」に!2024年1〜6月調査

日本スタートアップ大賞でも「経産大臣賞」受賞



加藤真平氏=撮影:自動運転ラボ

2024年1〜6月に資金調達を行った日本のスタートアップの調達額で、自動運転開発を手掛けるティアフォーがトップとなった。日系テックメディア「TECHBLITZ」を運営するイシンが発表した。ティアフォーの2024年7月時点の資金調達額累計は5,390万ドル(約83億円)にも上るという。

現役自動運転エンジニアの加藤真平氏が社長を務め、オープンソースの自動運転OS「Autoware(オートウェア)」などを手掛ける日本を代表する自動運転開発企業ティアフォー。同社は自動運転分野のみならず、全ての国内スタートアップの中でも屈指の資金調達力を誇る企業となっていることが分かる。


■これまでに約83億円を調達

イシンはレポート「2024年1〜6月 日本のスタートアップ資金調達額トップ50」をこのほどリリースした。

1位がティアフォー、2位は小型合成開口レーダ衛星の開発と運用、衛星データを利用したソリューションサービスを提供するSynspective、3位は国内最大のエネルギーのマーケットプレイスを運営するenechainとなっている。

2024年7月時点の資金調達額累計は下記となる。ティアフォーの調達額が飛び抜けて高いことが分かる。


  • ティアフォー:5,390万ドル(約83億円)
  • Synspective:4,400万ドル(約67億7,000万円)
  • Enechain:3,800万ドル(約58億5,000万円)

▼日本のスタートアップ資金調達額トップ50【2024年1月〜6月】をリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000259.000021299.html

■オープンソースの自動運転OSを提供

2015年設立のティアフォーは「自動運転の民主化」を掲げ、Autowareの開発や普及に力を注いでいる日本における自動運転技術開発のトップランナーの1社だ。

2017年に自動運転の公道実証を開始、2018年には自動運転技術の業界標準を目指す国際業界団体「The Autoware Foundation」を設立した。2021年に台湾のFoxconnが主導するEV生産のオープンプラットフォーム「MIH」と提携した。

2023年8月に、世界経済フォーラム「Unicorn Community」の活動に参画することを発表した。このコミュニティは世界で選ばれた約70社で構成されており、ティアフォーは日本のスタートアップを代表して参加することになった。


2024年5月には、特定条件下で完全自動運転を実現する「レベル4」水準の自動運転タクシーによるサービス実証を開始することを発表した。現在、お台場の複数拠点間でロボットタクシーによるサービス実証を行っており、同年11月から交通事業者と共同で事業化を目指す。2025年に東京の3カ所、2027年までには都内全域でサービスを展開する計画となっている。

【参考】関連記事としては「自動運転業界のスタートアップ一覧(2024年最新版)」も参照。

【参考】関連記事としては「自動運転ベンチャー、未上場企業一覧(2024年最新版)」も参照。

■日本スタートアップ大賞で経済産業大臣賞を受賞

出典:ティアフォープレスリリース

ティアフォーは「日本スタートアップ大賞2024」において「経済産業大臣賞(日本スタートアップ優秀賞)」を受賞し、2024年7月22日に表彰式が行われた。Autowareの取り組みのほか、政府が目標として掲げる2025年50カ所、2027年100カ所以上の自治体への自動運転システムの導入を牽引していることなどが評価されたようだ。

日本スタートアップ大賞は、次世代のロールモデルとなるような社会的インパクトのある新事業を創出したスタートアップを表彰することにより、積極的な挑戦の重要性や起業家への評価を浸透させ、社会全体のチャレンジ精神の高揚を図ることを目的としている。全国から寄せられた282件の応募の中から、10社が選出された。

ティアフォーが受賞した経済産業大臣賞は、SmartHRが受賞した「内閣総理大臣賞(日本スタートアップ大賞)」に続くものとなる。表彰式では、岸田総理にティアフォーのビジョンの説明や自動運転システムのデモンストレーションを行ったという。

■官民と連携し、実装を進めるティアフォー

損保ジャパンやクアンタ・コンピュータ、いすゞ、スズキなどと提携し、自動運転の社会実装を進めるティアフォー。2024年7月には、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)による「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」のうち、自動運転支援道に関わる「路側カメラ、LiDAR等データ連携システムの開発」に採択されたことも発表している。

この事業は自動運転の開発および社会実装の加速を目的としたデータ連携の開発枠組みであり、約15億円の委託事業になるという。官民と連携し、自動運転実装を進める同社の勢いはとどまるところを知らない。引き続き、同社の動向に注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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