EDR・CDR(事故データ抽出・解析)の国内初となる一般向けセミナーを開催したオートアライアンス(AUTO ALLIANCE)は2018年8月6日、セミナー動画の一般公開を開始した。
世界各国で搭載義務化を含む制度整備に向けた検討が進められているEDR・CDRは、自動運転を含む今後のクルマ社会において義務化すべきという声が多い。そこで今回は、セミナーの内容を参考に、EDR・CDRについて知識を深めていきたいと思う。
【参考】オートアライアンスは、自動車補修部品卸業の株式会社フタバら西日本を拠点とする自動車関連5社で構成する、クルマ社会の未来を創造するアライアンスグループ。詳しくは「公式サイト」も参照。
■CDRの国内の第一人者が登場!
オートアライアンス主催の自動車整備工具・システムの大規模展示会「にしにほんツールショー2018」の一幕としてセミナーが企画され、CDRの国内の第一人者とも言われるCDRジャパン株式会社ブリッジ代表の藤田隆之氏と、CDRのアジアパシフィックの責任者であるボッシュ株式会社セクション・マネージャーの里廉太郎氏が弁を振るった。
■義務化が検討されているEDR・CDRの役目とは
EDR(Event Data Recorder、イベントデータレコーダー)は事故発生時の車両の状態を記録するもので、EDRからデータを取り出すためのツールがCDR(Crash Data Retrieval、クラッシュデータリバイバル)。EDRは事故原因の分析強化などを目的に世界各国で搭載義務化が検討されている。
EDRは、事故が発生した時をゼロとして考えた際、マイナス5秒前からのハンドルの切り具合やブレーキやアクセルの踏み具合、シートベルトをしていたかなど車両のデータを記録する。車のタイプによってデータの吸出しのパラメータが異なり、最近の車両はパラメータが増えているため詳細なデータが取れるという。
■アメリカで法規化済のCDRの「90日ルール」
米国で法規化されている「49 CFR Part 563」では、EDRで記録を取る場合の規則が示されており、スコープや目的、範囲、データの読み出しツールに関する項目がある。この中で、自動車メーカーが車を販売してから90日以内にCDRを市販で買えなければならないルールがあり、新車が発売された90日後には確実にCDRのデータを抜き出せる機械が手に入るようになっている。日本においてもEDRの搭載が義務付けされれば、この90日ルールが主流になってくるものと思われる。
米国市場のEDR搭載メーカーは、2017年度新車販売台数における99.3%のメーカーがEDR搭載車両を販売している。「49 Part 563」に対応しているメーカーは86.9%で、GM、フォード、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、メルセデスなど17メーカーの51ブランドがある。
■日本でも2020年をめどに導入必須に
今後の車の技術においてEDRを事故の調査に活用できるようにすべきであるということが米国をはじめヨーロッパ、中国、韓国などの自動車製造国で活発に議論されており、ボッシュの予測によると、ヨーロッパは3年以内にEDR・CDRの法規化、中国は3〜5年以内にEDRの法規化、韓国はすでに法規化されており、日本は2020年をめどに法規化に向かっているという。
日本でも待ったなしの状況となりつつあるEDRとCDR。メーカーや技術者、一般消費者を含めたさらなる理解が求められていく分野だろう。
【参考】EDR・CDRについては「独ボッシュの事故データ解析技術、警視庁も注目 自動運転開発も加速|自動運転ラボ