自動搬送EVのeve autonomy、赤字7.8億円は「外販強化」の証?

ヤマハ発動機とティアフォーの合弁会社



出典:官報

自動搬送ソリューションを手掛ける株式会社eve autonomy(本社:静岡県袋井市/代表取締役CEO:星野亮介)=イヴオートノミー=の第4期決算公告(2023年12月現在)が、このほど官報に掲載された。

第4期の当期純損失は、前期から赤字額を62.4%増やし7億8,485万円であった。これまでの純損益の推移は、以下の通りとなっている。赤字が拡大している形だ。


<純損益の推移>
・第1期:▲2億4,365万1,000円
・第2期:▲4億8,023万7,000円
・第3期:▲4億8,312万3,000円
・第4期:▲7億8,485万7,000円
※▲はマイナス

eve autonomyは、自動運転技術を使った自動搬送ソリューションの実現を目指し、ヤマハ発動機と自動運転スタートアップのティアフォーにより2020年2月に設立された合弁会社だ。

eve autonomyの自動搬送ソリューションはヤマハ発動機の自社工場などで稼働している。だとすると、自動搬送ソリューションはヤマハ発動機から受託する形で開発が進められ、原価程度は発注元から担保されている可能性もあるが、なのに赤字が拡大しているということは、ヤマハ発動機以外に向けた外販の強化に向けて研究開発を強化しているという予測もできそうだ。

もしくは、自動運転という赤字先行のビジネスによって親会社単体の収益に影響出ないように、企業によってはあえて合弁会社側に赤字を寄せるケースもあり、その可能性もあるかもしれない。


■決算概要(2023年12月31日現在)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 2,244,633
固定資産 648,957
資産合計 2,893,590
▼負債及び純資産の部
流動負債 485,461
(うち賞与引当金)(9,849)
株主資本 2,408,129
資本金 100,000
資本剰余金 3,576,110
資本準備金 100,000
その他資本剰余金 3,476,110
利益剰余金 △1,267,981
その他利益剰余金 △1,267,981
(うち当期純損失)(784,857)
負債・純資産合計 2,893,590

■ヤマハ発動機とティアフォーにより設立

出典:ティアフォープレスリリース

eve autonomyは、ヤマハ発動機のランドカーをはじめとした高い信頼性を持つ車体開発技術と、ティアフォーが開発を主導するオープンソースの自動運転OS「Autoware(オートウェア)」の技術を組み合わせることで、誰にでも扱いやすい自動搬送ソリューション開発を行っている。

具体的には、屋外における安全で効率的な無人搬送サービス「eve auto(イヴ・オート)」として物流現場の新しいソリューションを提供し、顧客の物流課題解決を支援している。

■自動運転レベル4での無人搬送運用を実現

eve autoは、工場や物流施設向けに、主に屋外における事前の設備工事を必要とせずに自動搬送システムの導入を実現するソリューションだ。


屋外環境では、段差や坂道などの路面環境に加え、雨や日照の天候条件といった屋内より厳しい環境での運用が求められる。しかしeve autoはEVカートと最先端の自動運転技術を活用しており、雨天や夜間でも工場などの敷地内屋外環境で自動運転レベル4での無人搬送運用を実現している。

24時間稼働が求められる施設での運用も可能で、工場や物流施設のほか、エネルギー・化学プラント、空港、エンターテインメント施設などでの活躍も期待されている。これまでに、トラック搬送や大型重量物の建屋間搬送、物流倉庫での自動搬送などで活用され、自動化や省人化に貢献している。現在30以上の拠点に約50台を導入し、運用を行っているという。

出典:eve autonomy公式サイト

■NTT東日本の施設でも導入

2024年1月には、NTT東日本がローカル5Gを活用した、次世代の製造・物流工程を実現する「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ」を開設し、eve autoが導入された。NTT東日本のスマートファクトリー&ロジスティクスにおけるテーマである「工程変更時の現場負担軽減」のツールの1つとして、ローカル5Gに対応したeve autoが採用されたという。

同年3月には北米最大級の物流分野の展示会「MODEX 2024」に出展、eve autoサービスの自動運転車両の実機を展示したり、秋田大学AI研究推進センター開所式でeve autoのデモ走行を行ったりと、ますます露出を増やしている。

少子高齢化や働き方改革などにより人材不足が深刻な問題となっている現在、日々の業務の自動化を可能する技術は今後ますます必須になっていくだろう。eve autoの需要は拡大していくことが予想される。業界全体で徐々に商用フェーズに入りある中、eve autonomyの収益性に関する注目度も今後高まりそうだ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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