電気自動車(EV)の日産リーフが、イギリス国内の公道で実証的に自動運転走行する見通しとなった。それに先立って今後数カ月間、専用テストトラックで試験が行われる。仮想シミュレーション環境下でのバーチャル自動運転も行い、開発に活かす。
欧州日産が2023年9月27日に発表した。取り組みは、イギリス政府が資金提供する自動運転研究プロジェクト「evolvAD」の一環。このプロジェクトでは5つの業界パートナーからなるコンソーシアムが結成されており、欧州日産も名を連ねている。
■リーフが英国内の住宅地などで自動運転実証へ
報道発表によれば、同プロジェクトは2023年7月にすでに動き出していたが、このほど正式に始動した形。コンソーシアムに参加しているのは以下の5者だ。
- 欧州日産
- コネクテッド プレイシズ カタパルト
- ヒューマナイジング オートノミー
- SBDオートモーティブ
- TRL
5者はそれぞれの専門知識・技術の提供を通じ、イギリスにおける将来の自動運転技術の大規模展開に向けたサプライチェーンの準備を技術的に支援するという。
プレスリリースでは、コネクテッド自動運転車の性能を向上させるため、V2I(Vehicle to Infrastructure)技術をどう利用できるかなどの研究を行うとしている。具体的には、住宅地において防犯カメラなどを活用し、車両の状況認識能力を向上させることなどを試すという。
これまでの取り組みでテスト車両として使われていたのが日産リーフで、テストコースでの試験を経て、イギリス国内の都市部の住宅地や地方の道路を自動運転で走行する見通しとなっている。
ちなみに日産の同コンソーシアムにおける立場は「リーディングパートナーであり、プロジェクト期間中にテスト走行を行うコネクテッド自動運転車の開発を主導」と説明されている。
■自動運転技術の大幅進化につながるか
evolvADは、欧州日産がサポートする自動運転研究プロジェクト「ヒューマンドライブ(HumanDrive)」と「サーブシティ(ServCity)」の成功がベースとなっており、evolvADには、イギリス政府とコンソーシアムパートナーが共同で資金を拠出している。
日産は同プロジェクトでの取り組みを通じ、自社の自動運転技術とその能力をさらに高めていくことを目指しているようだ。
日産は現在、市販車に搭載するADAS(先進運転支援システム)として「プロパイロット2.0」を展開しているが、技術水準は自動運転レベル2(部分運転自動化)にとどまる。ホンダなどが自動運転レベル3(条件付き運転自動化)を展開する中、出遅れている印象が否めない。
自動運転タクシーの取り組みも国内で進めてきたが、最近は実証実験に関する取り組みもあまり聞こえてこない。欧州での取り組みを通じて自動運転関連の技術力を大幅にアップすることができるかが、今後の焦点の一つとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「日産の自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。