ドローンと自動運転車の連携による農産物輸送の実証実験が、2023年9月22日に愛知県幸田町で行われる。
この実証は国土交通省が公募した「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」に採択されており、愛知県と幸田町、名古屋鉄道、プロドローン、アイサンテクノロジー、大同大学からなる共同体により実施される。
■ドローン×自動運転の実証実験
今回の実証では、ドローンはレベル3(無人地帯での目視外飛行)相当で飛行し、自動運転車はレベル2(システムが前後・左右の両方の運転操作を支援)で走行する。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
実証テーマは「幸田町におけるドローン・自動運転車連携による農産物・買い物支援輸送の検証」だ。同町の山間部では人口減少や高齢化の影響により、通勤・通学や買い物の利便性に課題を抱えているという。また特産品の柿である「筆柿」がブランド品として日本一のシェアを誇っているものの、高齢化や人材不足の影響により、販売量減少が懸念されている。
その解決策として、農産物輸送と買い物支援輸送をドローンと自動運転車の連携により実施し、農業の担い手不足の軽減や販売量増加、買い物の利便性向上を目指すという試みになる。
■自動運転車が貨客混載で配送
想定する事業モデルとしては、まずはドローンが筆柿(ふでがき)畑や梨畑から集荷し、道の駅まで配送する。その後、定期運行する自動運転巡回バスが道の駅や集荷センター、スーパーマーケットを貨客混載で配送する。ドローンの復路は、道の駅から個人宅まで、日用品を配送するという流れになる。
使用するドローンは、プロドローン製「PD6B-Type3」で、最大積載量は20キロとなっている。自動運転車は、ヤマハ発動機が開発したゴルフカートをベースに自動運転専用に改造した車両だ。なおこの自動運転車両には、オープンソースの自動運転OS「Autoware」や高精度3Dマップ、LiDARが搭載されている。
名古屋鉄道がプロジェクト統括や実証実験の企画運営などを、プロドローンがドローン機体提供、運航、運航に関わる申請および調整などを担当する。またアイサンテクノロジーは自動運転車の提供、走行、自動運転に関わる地図作成を、大同大学は技術・ビジネス設計アドバイスなどを行う。
■地方での実用化が促進されるか
実証は9月22日昼に行われる。ドローンと自動運転車を組み合わせた配送方法は、今後さらに実用化に向けた取り組みが進んでいきそうだ。また自動運転車を用いた貨客混載での配送という仕組みは、ルート作成や費用の面などでビジネスモデルを確立しやすいと言える。
今回の幸田町の実証がどういった結果になるか、報告を待ちたい。
【参考】関連記事としては「愛知で「空と道がつながる」事業が始動!空&陸で同時自動管制」も参照。