HIS、空飛ぶクルマの「適正価格」を分析へ 万博後に商品販売

関西における公募事業の一環



出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/aam_eng.html)

旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、空飛ぶクルマの運航ルートの提案や市場における適正価格の調査と分析に乗り出す。関西での公募事業の一環として、大阪・関西万博後に関西エリアでの空飛ぶクルマ運航事業の推進体制の整備・構築を見据えて取り組むという。

この事業に参加するのはHISのほか、丸紅、みずほ銀行、東京海上日動火災保険だ。大阪府、大阪市、兵庫県が連携し公募した空飛ぶクルマの社会実装推進を目的とした補助事業に採択され、実施するものとなる。


■HISはチケット料金などの精査を担当

この補助事業では、3つの事項について検証を行う。「関西エリアにおける需要分析」「候補ルートごとの運行条件の調査」「候補ルート毎の最適な充電・バッテリー管理方法に関する調査」だ。

検証調査エリアは、下記10のうち2エリアを結ぶルートとなる。

  • 夢洲エリア
  • 大阪市街地(森ノ宮近辺)
  • 神戸市街地
  • 尼崎市街地
  • 関西国際空港エリア
  • 神戸空港エリア
  • 但馬エリア(竹田城・城崎温泉・但馬空港)
  • 淡路エリア
  • 高野山エリア
  • 瀬戸内エリア(小豆島・直島・福山)

丸紅がプロジェクトマネジメントや検証調査、事業計画精査・評価、HISが空飛ぶクルマのチケット販売に係る料金および販促アイデアなどの精査を担当する。

みずほ銀行は空飛ぶクルマの減価償却費や機体保有に係る料金の精査を、東京海上日動は日本国内の運航における航空機保険の設計を担う。


この事業を通じ、4社は事業性のある運航ルートを見極めることで、関西エリアにおける空飛ぶクルマの社会実装の早期実現を目指す。

出典:HISプレスリリース
■商用利用開始後は商品を造成・販売

HISは地方活性化の取り組みの1つとして、自治体と事業者をつないで連携し、空飛ぶクルマの活用により観光地や都市間の移動を短縮し、新たな旅の可能性を提供したいと考えている。

今回の事業においては、旅行者のニーズを踏まえて検証のすり合わせを行うとともに、空飛ぶクルマの運航ルートの提案や市場における適正価格の調査と分析を行うという。さらに商用利用開始後は、同社の海外ネットワークを通じ、日本国内のみならず訪日外国人に向けて商品を造成し、販売する。

特に訪日観光客に利用してもらえば、日本の最新技術を世界にアピールする絶好の機会にもなりそうだ。


■「万博後」を見据えた動きにも注目

2025年に開催を控えている大阪・関西万博。日本における大規模な空飛ぶクルマの実用化機会として大きな注目を集めている。

そしてその後の活用方法を模索し、国内の各業界のトップ企業が集結した。まずは空飛ぶクルマの適正価格についての検証結果などについての報告を待ちたい。

【参考】関連記事としては「大阪万博が「空飛ぶクルマ万博」になりそう」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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