米アマゾン、日本の自動運転EVベンチャーTuringを支援

AWSのLLM開発支援プログラムに採択



自動運転EV(電気自動車)の開発に取り組むTuring株式会社(本社:千葉県柏市/代表取締役:山本一成)=チューリング=が、米Amazonのクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)の開発支援プログラムに採択された。


アマゾン・ウェブ・サービス ジャパン(AWSジャパン)が2023年9月4日に発表したもので、チューリングはAWSジャパンの「AWS LLM開発支援プログラム」に採択された16社のうちの1社となった。

■AWS LLM開発支援プログラムとは?

AWSジャパンは日本に法人または拠点を持つ企業・団体を対象に、「大規模言語モデル (Large Language Model:LLM)」の開発者を支援する「AWS LLM開発支援プログラム」の応募受付を2023年7月に開始した。

これは、LLM開発を行うための計算機リソース確保に関するガイダンスやAWS上でのLLM事前学習に関わる技術的なメンタリング、LLM事前学習用クレジットやビジネス支援などのサポートを提供するプログラムになる。

チューリングは、完全自動運転の実現には人間と同等以上のレベルの自動運転AI(人工知能)が必要であると考えており、言語を通じて極めて高いレベルでこの世界を認知・理解している、LLMを含むマルチモーダルモデルの開発を進めているという。


今回AWSのプログラムに採択されたことにより、よりいっそう技術開発が促進されることが期待される。

■「テスラ超え」を目指すチューリング
出典:チューリング・プレスリリース

Turingは「We Overtake Tesla」をミッションに掲げ、レベル5相当の完全自動運転EVの開発及び量産化を目指している。将棋名人を倒したAI「Ponanza」の開発者として知られるCEO(最高経営責任者)の山本一成氏と、カーネギーメロン大学などで自動運転開発に関する見識を深めてきたCTO(最高技術責任者)の青木俊介氏を中心に2021年8月に設立された。

2025年に自社生産EVを100台販売、2027年に完全自動運転EVの量産を開始、2030年に完全自動運転EVを1万台生産することを目標にしている。

同社は、経済産業省主導の官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup」にも選出されている。2023年6月には、自社工場「Turing Kashiwa Nova factory」の見学会と、LLMを搭載した自動運転車の走行デモを実施するなど、完成車メーカーを目指すスタートアップとして事業に取り組んでいる。


■Preferred Networksも採択

AWS LLM開発支援プログラムには、自律移動ロボットの開発も手掛けるAIベンチャーのPreferred Networksも採択されている。チューリングもPreferred Networksも、自動運転開発における要注目企業だ。

<AWS LLM 開発支援プログラム採択企業(公開可能な企業および団体)>

  • カラクリ株式会社
  • 株式会社サイバーエージェント
  • ストックマーク株式会社
  • Sparticle 株式会社
  • Turing 株式会社
  • 株式会社 Preferred Networks
  • 株式会社 Poetics
  • 株式会社松尾研究所
  • 株式会社マネーフォワード
  • 株式会社ユビタス
  • 株式会社 Lightblue
  • 株式会社リクルート
  • 株式会社リコー
  • rinna 株式会社
  • 株式会社ロゼッタ
  • 株式会社わたしは

同プログラムにより技術開発が加速され、どんな成果が出されるかについて、今後の展開を注視していきたい。

【参考】関連記事としては「テスラ越え目指すTuring、自動運転の特許を2件出願」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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