自動運転企業の筆頭格!ティアフォー、売上8%増の7.8億円 損失は39億円に拡大

レベル4自動運転EVの量産開始



自動運転OSの開発などを手掛ける株式会社ティアフォー(本社:東京都品川区/代表取締役社長:加藤真平)の最新決算(2021年10月〜2022年9月)が、同社の公式サイトでこのほど公開された。


売上高は前期比8.6%増の7億8,397万円、当期純損失は前期から赤字額を17.8%増やし39億1,097万円であった。ティアフォーに関しては、台湾のFoxconnグループとのプロジェクトといったビッグニュースがある中で、前期と比べると売上の成長率が鈍化している点は気になるところだ。

過去3期の売上高と純損益の推移は以下の通りだ。

<売上高の推移>
・2019年10月〜2020年9月:5億6,114万9,000円
・2020年10月〜2021年9月:7億2,178万6,000円
・2021年10月〜2022年9月:7億8,397万7,000円


<純損益の推移>
・2019年10月〜2020年9月:▲25億6,359万3,000円
・2020年10月〜2021年9月:▲33億1,807万9,000円
・2021年10月〜2022年9月:▲39億1,097万9,000円
※▲はマイナス

出典:ティアフォー公式サイト(※クリックorタップすると拡大できます)
■決算概要(2022年9月30日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 16,089,186
固定資産 2,949,825
資産合計 19,039,011
▼負債の部
流動負債 756,897
賞与引当金 50,000
受注損失引当金 2,790
固定負債 2,500
負債合計 759,397
▼純資産の部
株主資本 18,279,614
資本金 104,490
資本剰余金 22,010,646
資本準備金 14,813,270
その他資本剰余金 7,197,376
利益剰余金 △3,835,522
その他利益剰余金 △3,835,522
繰越利益剰余金 △3,835,522
純資産合計 18,279,614
負債・純資産合計 19,039,011

損益計算書の要旨(単位:千円)

売上高 783,977
売上原価 436,510
売上総利益 347,467
販売費及び一般管理費 4,275,301
営業損失 △3,927,833
営業外収益 68,498
営業外費用 47,844
経常損失 △3,907,179
税引前当期純損失 △3,907,179
法人税、住民税及び事業税 3,800
当期純損失 △3,910,979

■オープンソースの自動運転OSを開発

ティアフォーは、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発・普及を目的に2015年に設立された名古屋大学発のスタートアップだ。Autowareの国際標準化を推進する業界団体「The Autoware Foundation(AWF)」を設立するなど、世界を視野に入れた事業展開を進めている。


同社は2022年11月にeve autonomy、ヤマハ発動機と共同で開発した自動搬送サービス「eve auto」の提供を開始した。自動運転EV(電気自動車)による自動搬送の商用サービスは、国内初の取り組みになったようだ。

出典:ティアフォープレスリリース

2023年6月に、自動運転機能に対応したEVの生産を加速させるソリューション「ファンファーレ」の提供を開始した。顧客が自社ブランドを通じてレベル4水準の自動運転EVを製品化し、販売・利用できるよう支援するシステムで、まずは小型バスの提供から開始し、2024年までに9車種の商用車モデルを順次出荷する予定だという。

同じく6月に車体架装メーカーのトノックスとの協業を開始した。レベル4水準の自動運転機能に対応した商用車両の生産を加速させることが目的で、トノックスの平塚工場でレベル4自動運転EVの量産を行っていく。また同じタイミングでレベル4自動運転化ガイドラインを公開するなど、今年に入りレベル4自動運転に向けての取り組みが加速している印象だ。

さらに2023年8月には世界経済フォーラムの「Unicorn Community(ユニコーン・コミュニティ)」の活動に参画することを発表したり、先端テクノロジー企業のアクセルと共同で完全⾃動運転に特化したSoC(システムオンチップ)で自動運転タクシー実証を行ったりと、国内と国外両方で精力的に活動している。

出典:ティアフォープレスリリース
■ビジョンは「自動運転の民主化」

「自動運転の民主化」をビジョンとしているティアフォー。自治体やさまざまな業界の企業と協業し多数の実証実験などを行っている同社は、日本を代表する自動運転開発企業と言える。

今後の取り組みと業績に、引き続き注目していきたい。

※決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「自動運転OS開発のティアフォー、世界的ユニコーンの一員に」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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