トヨタ出資のPony.ai、「無人」自動運転タクシーを展開 旅行会社と共同で

深センで運営チームの設立を発表



中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)が、中国・広東省の深センで「完全無人」の自動運転タクシーを展開するようだ。完全無人で特定エリアを走行する場合、自動運転レベルでは「レベル4」に相当する。


中国メディアによると、Pony.ai、深セン・香港近代サービス産業協力区管理局、旅行サイト「Ontime」の3者が、ドライバーレスタクシーの商業的なパイロットプロジェクトに関する契約を結んだという。

中国国内で完全無人のドライバーレスタクシーが展開されている事例は複数あるが、報道によれば、旅行業者も絡んで商業ベースで展開されるのは中国初だという。

【参考】関連記事としては「自動運転レベル4でできることは?」も参照。

■自動運転タクシー運営チームを設立

中国メディアの報道によると、Pony.aiとOntimeは、自動運転タクシー運営チームを深センの商業開発区である前海(Qianhai)に設立するという。自動運転タクシーの商用化とそのビジネスモデルの調査、無人ライドヘイリングの管理システムや安全監視などについて協力していくようだ。


これまでのほとんどの自動運転車の走行については、必要に応じて運転を行うセーフティドライバーの乗車が義務づけられていた。しかし、今回深センで開始される予定の自動運転タクシープロジェクトでは、完全ドライバーレスでの運用を行う。

旅行会社が自動運転プロジェクトに積極的に参画するのは、中国国内では今回が初めてのことだという。

トヨタも出資するPony.ai
出典:Pony.aiプレスリリース

Pony.aiについて解説を加えておこう。Pony.aiは、グーグル・Baidu出身の2人により2016年に設立された。2019年8月には、自動運転の領域でトヨタ自動車と提携することを発表した。

さらに2020年2月には、自動運転開発の加速に向けトヨタから4億ドル(約440億円)を調達したことを発表した。トヨタからの戦略的投資については、自動運転技術の共同開発に加えモビリティサービスのさらなる可能性を模索するなど、パートナーシップにおけるコラボレーションの範囲を拡大するという内容であった。


米国においては、2021年5月にカリフォルニア州で完全無人自動運転の走行ライセンスを取得している。また2022年9月にアリゾナ州で公道実証を開始することを発表した。

中国では2021年11月の北京で有料自動運転タクシーの許可、同年12月に深センで公道走行ライセンスを取得した。2022年4月に広州でタクシー営業許可を取得、これは自動運転開発企業としては中国初となった。さらに同年12月に北京で完全無人の公道実証許可を得ている。その後、2023年4月に広州で完全無人自動運転車両による旅客輸送許可を取得したという流れになっている。

■米中で事業を展開、引き続き注目を

米中どちらでも自動運転タクシーを展開するPony.ai。深センでは、完全無人かつ旅行会社とのタッグという取り組みになる。引き続き注目していきたい。

▼Pony.ai公式サイト
https://www.pony.ai/en/index.html

【参考】関連記事としては「Pony.aiの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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