自動運転トラック開発のスタートアップ米Kodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、EV(電気自動車)の活用により「脱ディーゼル」を加速させるようだ。同社がカリフォルニア州で開催された「Advanced Clean Transportation Expo」で新型車を発表したことにより、明らかになった。
現在、配送用トラックの大半はディーゼル車で排気ガスなどの影響が問題になっている。最近はクリーンディーゼルなど低炭素型ディーゼルトラックの比率が高まっているが、自動運転と相性の良いEVが導入されれば、より低燃費でクリーンな走行が可能になると考えられている。
■2018年設立のKodiak Robotics
2018年設立のKodiak Roboticsは、運送会社が所有している車両に取り付ける、長距離運転向けの自動運転システムの開発を手掛けている。
同社の自動運転システム「Kodiak Driver」はハードウェアとソフトウェアで構成され、ハードウェアとしては、米Luminar製のLiDAR「Iris」や独ZFのフルレンジレーダーのほか、360度スキャニングLiDARやカメラが組み込まれており、毎秒数百MBのデータを取得し、処理できるという。
なお、このシステムは車両や燃料のタイプに関わらず、どんなトラックにも搭載できるようになっている。
■自動運転技術搭載の初のEVトラック
そんなKodiak Roboticsは、同社の自動運転技術を搭載した初のEVクラス8トラック「579EV」を2023年5月2日に公開した。ゼロエミッション(廃棄物の排出ゼロ)のモデルとなる。
この579EVは、3時間で充電可能なEVだ。最大航続距離は150マイル(約240キロ)で、トラックとしては比較的短いと言える(技術の進化に伴って航続距離を伸ばすことを計画しているようだ)
Kodiak Roboticsは、この車種を短距離輸送やドレージ(荷物をコンテナに入れたまま陸上輸送する方法)に使用したり、テスト車両として使用したりするようだ。なお一般的に、システムからの要求に対するレスポンスはディーゼルよりもEVのほうが早いため、自動運転に関してはEVが適していると言える。
■EV自動運転トラックは今後主流になるか?
これまで開発が行われてきた自動運転トラックのほとんどは、長距離輸送に対応するためにディーゼルエンジンを採用していた。ただし、スウェーデンのスタートアップ企業Einrideが自動運転貨物EVを手掛けているなど、例外もある。
EV化に関してトラックは乗用車に遅れを取っているが、2023年4月には、カリフォルニア州が、州内で販売や登録される全ての中型と大型の新車にはゼロエミッションを2036年までに義務付けることを決めており、他の州でも同様の法律ができる流れになると考えられている。
今回Kodiak Roboticsが自動運転のEVトラックを発表したことを契機に、無人トラックの脱ディーゼルは進むのだろうか。注視していきたい。
▼Kodiak Robotics公式サイト
https://kodiak.ai/
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧(2023年最新版)」も参照。