空飛ぶクルマ、すでに3件の型式証明が申請されていた!

第1号はSkyDrive、ほかは外国企業



出典:Volocopterプレスリリース

日本において「空飛ぶクルマ」としての型式証明申請の受理が、すでに3件あることをご存じだろうか。国土交通省は2023年2月21日に、3社目の型式証明申請を受理したことを発表している。

同省は欧州航空安全当局(EASA)とも連携して、今後航空機の設計や製造過程などに関する型式証明審査を適切に進めていきたいとしている。


■1社目は日本ベンチャーのSkyDrive

型式証明申請が受理されている3社のうちの1社は、空飛ぶクルマなどの開発を手がけるSkyDriveで、同社のケースが日本第1号だ。2021年10月29日付で受理されている。ほかの2社は海外企業で、米Joby Aviationと独Volocopterだ。

■2社目は米国企業のJoby Aviation

Joby Aviationは2022年10月18日付で型式証明申請が受理されている。同社はこれまで1,000回以上のテスト飛行を実施しており、トヨタ自動車など有力な投資企業が出資している。2021年8月にニューヨーク証券取引所にSPAC上場した。

同社が開発するeVTOLの航続距離は最大300キロで、最高時速は320キロだ。安全性にも優れており、万が一プロペラが1つ壊れても問題なく運航できるという。

■3社目はドイツ企業のVolocopter

独Volocopterは2023年2月21日付で型式証明申請が受理された。同社は2011年に世界初とされるeVTOL(電動垂直離着陸機)の有人飛行を実施している。その後開発や実証を続け、2017年にはドバイでエアタクシーのテスト飛行を実施した。2020年代前半に商用機の製造と販売を目指しているという。


物流輸送の「VoloDrone」や都市部におけるエアタクシー「VoloCity」なども開発している。2019年にはシンガポールにエアタクシー用のステーション「VoloPort」を設置し、同年にはシンガポールでエアタクシーの有人試験飛行も成功させている。

▼ドイツVolocopter社からの空飛ぶクルマの型式証明の申請受理について|経済産業省
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku11_hh_000105.html

■そもそも「型式証明申請」とは?

国土交通省が型式証明の申請手続きの手順を公開したのは、SkyDriveの申請を受理したのと同じタイミングだった。 同省が設定した空飛ぶクルマの型式証明は、国が機体設計の安全性・環境適合性に関する基準に適合するかの審査や検査を、開発と並行して進めていくものだ。

下記6つのステップを踏んで、愛知県の航空機技術審査センターが中心となり、開発進捗に合わせた型式証明審査が進められる。

  • 適用基準の合意:適用される耐空性基準の設定、設計の特徴に応じた特別要件の設定
  • 適合性証明計画の合意:適合性証明計画、適合性見解書など
  • 図面・解析書などの検証:性能計算書、強度計算書、電気負荷解析書など
  • 各種試験の実施:材料試験、構造部品強度試験、全機強度試験、装備品・システム機能試験など
  • 製造過程、品質管理体制の確立と検証:適合検査など
  • 飛行試験の実施:社内飛行試験、型式証明飛行試験

空飛ぶクルマが実用化するまでの道のりは着々と整備されている。今後より多くの型式証明申請が受理されていくだろう。引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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