総合商社の双日株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:藤本昌義)はこのほど、2023年1月10日〜3月10日まで、大阪府の泉北ニュータウン地域において実施されるデマンド型乗合交通サービスの実証「NANKAIオンデマンドバス」に参画すると発表した。
完全予約型デマンドシステム「チョイソコ」を活用した実証は、南海電気鉄道と南海バス、堺市と共同で行う。チョイソコは全国約50カ所で展開されているが、大阪府での取り組みは初だという。なおこの実証は大阪府AIオンデマンド交通モデル事業に採択されており、その補助金を活用して実施される。
■「最短ルート算出」がマネタイズを容易に
今回の実証は、住民の外出促進や目的地までの移動の利便性の向上、新しい交通手段の創出を目指し、行われる。南海電鉄が事業主体、南海バスが運行主体を担う。双日は運行事業で収集した利用ニーズや乗降データをベースに、新たなヒト移動やモノ輸送展開による地域活性化ビジネスのプラットフォーム構築を進めていくという。
泉北ニュータウン地域の桃山台と鴨谷台の2地区において26の停留所と、泉北高速鉄道線の光明池駅と栂・美木多駅、泉ケ丘駅の3駅に停留所を設置する。運賃は1回200円で、泉ケ丘駅発着の場合は1回300円だ。
実証においては、予約状況に応じて効率の良いルートをAI(人工知能)システムが算出し、最短ルートで配車依頼を効率的にさばいていくことで、マネタイズもしやすくなる。動力となるエネルギーも効率的に活用できることから、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目されている。
■日本郵便もNEDOも取り組み
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、EC(電子商取引)での商品購入が盛んに行われるようになった近年、配送を効率化するルート最適化システムの需要は、より高まってきていると言える。今回の双日の実証のように、ルート最適化を行うオンデマンドモビリティの実証はほかにも行われている。
日本郵便もAIスタートアップのオプティマインドらとともに、リアルタイムで配達状況に応じたルートを再計算する仕組みを2020年6月に導入している。2021年5月には、全国500局まで導入規模を拡大することを発表した。
2022年2〜3月には、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)がとドコモと共同でAI運行バスを使った実証を行っている。 公立はこだて未来大学発タートアップの未来シェアが開発したAI配車システム「SAVS(Smart Access Vehicle Service)」が使用され、北海道大学が開発した技術と組み合わせることで、効率化が実現できるという。
【参考】関連記事としては「乗客を拾うルートの最適化、「大学パワー」でさらに進化!AI運行バス実証」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) January 31, 2022
■労働力不足の日本との相性抜群
労働力不足が今後も見込まれる日本において、効率のいい最短ルートの走行を実現するオンデマンドサービスに注目が集まる。今後も注目していきたい。
【参考】関連記事としては「ルート最適化システム、市場拡大の予兆 日本郵便でも試行導入拡大」も参照。