自動運転トラックを開発している企業の多くは大型トラックを対象としているが、小型・中型トラックに特化して技術開発を行っているベンチャー企業がある。米Gatik(ガティック)社だ。無人の走行実証もすでにスタートしていることで知られている。
Gatikは大型トラックによる長距離輸送ではなく、ミドルマイルに着目してプロジェクトを進めていることでも注目を集めている。そしてこのGatikにアメリカの大手テック企業群「GAFAM」のうちの1社がどうやら目をつけたようだ。Microsoft(マイクロソフト)だ。
■出資規模は1,000万ドル以上か
ロイター通信が情報筋の話として報じたところによると、MicrosoftはGatikへ出資を行う方向で協議を進めているという。Gatikは2017年に設立されたカリフォルニア州のスタートアップ企業だ。
Microsoftのクラウドサービス「Azure」におけるGatikとの提携の一環として、出資が検討されているようで、1,000万ドル(約13億円)以上の出資規模となる可能性が高いようだ。Gatikの企業価値は7億ドル(約900億円)と見積もられているという。
ちなみに7億ドルという企業価値は、アメリカの自動運転ベンチャーの中では決して大きい金額ではない。以前、自動配送ロボットを手がける米Nuroは86億ドル、自動運転システムを開発するPony.aiは85億ドルと算出されている。
現在、アメリカを含むテック業界では世界的な株安もあり、ベンチャー企業の企業価値が低く見積もられるケースが相次いでいる。Gatikの企業価値も従来であれば7億ドルよりは高い可能性もあることを、一応指摘しておきたい。
▼世界のユニコーン一覧と企業価値|CBインサイツ
https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies
■相次ぐ非自動車メーカーによる買収
非自動車メーカーによる自動運転ベンチャーの買収は、ここ数年目立ってきている。たとえばAmazonはZooxを、IntelはMobileyeを過去に買収している。
Microsoftの今回の資金拠出は「出資」にとどまるものとみられるが、本格的な自動運転ビジネスの展開に向け、いずれGatikの株式を100%取得することも十分に考えられそうだ。
【参考】関連記事としては「ボルボ・カーズ、「自動運転」展開へZenseactを完全子会社化」も参照。