自動運転向けシミュレーション、「世界一の性能・精度」へ自信

米Applied Intuition、Mechanical Simulation買収



出典:Applied Intuitionプレスリリース

「世界で最も高性能かつ高精度」と強調する報道発表が目にとまった。発表主は自動運転向けのシミュレーション技術に強みを持つ米Applied Intuitionだ。

あるアメリカ企業を買収し、自動運転やADAS(先進運転支援システム)のための「世界で最も高性能かつ高精度」なシミュレーションツールを開発・提供するという。


■Applied Intuitionのシミュレーション技術を補完

Applied Intuitionが買収したのは、車両ダイナミクスシミュレーションソフトウェアのプロバイダーである米Mechanical Simulationだ。主力製品としては「CarSim」が知られている。

1996年設立のMechanical Simulationは、多様な条件下で車両の性能をシミュレーションするための高度なソフトウェアを開発・販売している。現在、世界200社以上のOEM(完成車メーカー)やティア1サプライヤーなどと取引関係がある。

Mechanical Simulationの精密な車両ダイナミクスモデルは、Applied Intuitionのシミュレーション技術を補完し、複雑なシミュレーション環境でも車両性能の解析やADASや自動運転システムの安全性の検証ができるようになるという。

■東京にもオフィス、世界で優秀なエンジニアを採用

シリコンバレーに本社を置くApplied Intuitionは、自動運転システムを開発している企業のエンジニアチーム向けに、シミュレーションソフトや検証ソフト、ドライブデータの管理ソフトなどを展開している。


米国以外にもドイツ韓国、東京にもオフィスを構え、世界各国で優秀な自動運転エンジニアの採用に力を入れている。

2021年11月には、同社が開発した自動運転システム開発のためのシミュレーションソフトウェア「Simian」が、国際規格の「ISO 26262」認証を取得したと発表した。

■業界のライバルたちを突き放していけるか注目

自動運転社会の実現には安全性の担保が不可欠だが、実物のクルマを走らせるのではなく、シミュレーション上で自動運転のテスト行うことは、開発スピードを上げるためにも、今後ますます重要になってくる。

自動運転向けのシミュレーション技術を開発している企業はすでに世界に多くあり、Applied IntuitionとMechanical Simulationがこうした業界のライバルを突き放していけるか、注目だ。


▼Applied Intuition公式サイト
https://www.appliedintuition.com/
▼Mechanical Simulation公式サイト
https://www.carsim.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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