国土交通省は2021年11月25日までに、高速道路での安全で円滑な自動運転を官民が連携し検討を進める「自動運転の普及拡大に向けた道路との連携に関する共同研究」へ参画する民間企業など27者を発表した。
2021年11月から2024年3月の期間ににわたり、自車位置特定補助情報に関する研究と先読み情報に関する研究を、国土交通省の「国土技術政策総合研究所」とともに共同で進めていくという。
■参画する27者は?
自動車メーカーからはトヨタ自動車と本田技術研究所、日産自動車の3社が、高速道路会社からは首都高速道路と阪神高速道路、東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路、高速道路総合技術研究所の6社が参加する。
電機メーカーから参加するのは、沖電気工業や日立製作所、東芝インフラシステムズ、三菱重工機械システム、三菱電気、オムロンソーシアルソリューションズ、パナソニックシステムソリューションズジャパン、富士通、名古屋電機工業、星和電機、JRCモビリティ、フォルシアクラリオン・エレクトロニクスの12社だ。
地図会社からはゼンリンが、機器・素材メーカーからは朝日エティックと日本ライナー・積水樹脂の2社が、関係財団法人からは日本道路交通情報センターと道路交通情報通信システムセンター、日本気象協会の3団体が参加する。
■自車位置特定と先読み情報で自動運転と道路の連携を促進
国交省の資料によると、近年ASV(先進安全自動車)技術の装備率は年々大きく上昇している。日本において自動運転車を普及させ実用化していく上で、走行環境を整備しシステムが作動するエリアを拡大させることは欠かせない要件だ。
ただし現在では、路面凍結や強風などの気象状況や、区画線のかすれやタイヤ痕、トンネルの出口などの道路状況により、自動運転の作動が阻まれているのが現状だ。
今回の官民共同研究では自動運転の適用範囲を拡大させるため、自車位置特定補助情報に関する研究と先読み情報に関する研究を進め、自動運転と道路の連携を促進する。
自車位置特定補助情報について
自車位置特定補助情報については横断方向の自車位置特定を車載センサーが補助することを目的とする。自動運転に対応した区画線や路面標示の要件案を作成したり実証実験をしたりするようだ。
先読み情報について
先読み情報については、車載センサーが検知不可能な風速や路面状態などの前方の状況を車両に伝えることで、自動運転を継続して利用できる区間を拡大させるのが目的だ。
まず対象のユースケースを特定し、次に各ユースケースが収集し・提供すべき情報を特定する。その後、情報収集・提供のフォーマット案とシステム使用案も作成して実証実験で検証していくという。
■【まとめ】自動運転社会実現への貢献に期待
交通量の少ない地方や歩行者がおらず信号のない高速道路、施設内の私道などでは比較的自動運転車両の導入が進みやすい。
しかし一方で、人や信号が混在し交通量の多い街中においては、現状では自動運転車を前提として道路が作られていないため、道路とクルマが今後より連携していく必要がある。
官民組織の共同研究が自動運転社会の早期実現に寄与することに期待したい。
▼自動運転の普及拡大に向けた道路との連携に関する共同研究を開始します
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001500.html
【参考】関連記事としては「自動運転、「路上駐車」が最大の障害!手動介入の要因で首位」も参照。